松本美和子

松本美和子（まつもと みわこ）について

松本美和子は1941年11月25日生まれ、日本を代表する声楽家であり、オペラ歌手、音楽教育者として知られています。彼女は奈良県奈良市に生まれ、武蔵野音楽大学を卒業後、1966年にはローマ・サンタ・チェチーリア音楽院に留学し、首席名誉賞を受賞して卒業しました。また、1972年にはローマ・アカデミア・サンタ・チェチーリアでも学び、シエーナのキジアーナ音楽院にも在籍しました。

彼女のキャリアは、1972年のローマ歌劇場におけるビゼーのオペラ『カルメン』のミカエラ役でのデビューから始まりました。以降、ローマ国立歌劇場を拠点に、ナポリのサン・カルロ劇場やヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場など、イタリアの著名な歌劇場はもちろん、ベルリン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、ロイヤル・オペラ・ハウス（ロンドン）など、世界各国の主要オペラ劇場で活躍しました。彼女は、ヘルマン・プライやホセ・カレーラスといった著名な歌手たちとも共演し、その実力を証明しています。

日本国内では、1974年にモーツァルトの『フィガロの結婚』にてケルビーノ役でオペラデビューを果たし、その後も様々な作品に出演しました。1998年にはプッチーニの『蝶々夫人』で新国立劇場98-99シーズンの幕開けを飾り、1999年には『こうもり』のロザリンデ役でも注目を集めました。さらに、2002年にブルガリアのソフィア国立歌劇場で『ラ・ボエーム』に出演し、2003年には東京室内歌劇場で『欲望という名の電車』に出演しています。彼女は2009年以降、プーランクのモノ・オペラ『声』をライフワークとして毎年演奏し続けています。

松本美和子はオペラだけでなく、歌曲の演奏にも力を入れており、1991年にはウィーン楽友協会で日本人として初めて歌曲の夕べに出演しました。1996年にはトスティ生誕150周年記念コンサートを紀尾井ホールで開催し、トスティの100曲を披露。それに続き、1999年にはレスピーギの全曲CDをリリースし、毎年新しい歌曲集を発表するなど、幅広いレパートリーを持っています。そして、彼女の日本歌曲に対する評価も高いです。

松本美和子は教育者としても活躍しており、1998年にチャイコフスキー国際コンクールで日本人初の優勝者となった佐藤美枝子を指導した実績があります。彼女の門下生には、多数の声楽家が含まれ、次世代の育成にも尽力しています。現在は武蔵野音楽大学の特任教授として在籍し、二期会の会員でもあります。

受賞歴も豊富で、1964年に日伊声楽コンコルソ特別賞を受賞し、1965年の毎日音楽コンクールでは声楽の部で1位を獲得。また、2006年には紫綬褒章、2012年には旭日小綬章を受章しています。音楽文化への貢献が評価され、2019年には下總皖一音楽賞を受賞しました。

その幅広い活動において、松本美和子は日本の音楽界において重要な存在となっており、今後も彼女の活動に期待が寄せられています。

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