松永義雄

松永 義雄

松永義雄は、1891年（明治24年）7月15日に愛知県海部郡立田村（現在の愛西市）に生まれた日本の弁護士、政治家である。東京帝国大学法科大学でドイツ法を学び、1917年に卒業後、弁護士としての道を歩み始めた。

経歴

弁護士開業後、松永は労働運動に関心を寄せた。1924年には日本労働総同盟の法律部員に就任し、野田醤油労働争議をはじめとする重要な労働争議において、労働者側の立場から弁護活動を展開した。こうした実践は、彼の政治への関与を深める契機となる。

彼は社会運動政党の設立にも尽力し、1926年には社会民衆党の結党に参画した。その後も政治家としてのキャリアを積み重ね、東京市会議員および同参事会員、社会大衆党の常任中央執行委員、さらには日本農民組合総同盟の主事といった要職を歴任した。都市部の労働者や農民の権利向上を目指す活動を続けた。

1937年4月に行われた第20回衆議院議員総選挙では、社会大衆党公認候補として埼玉県第一区から立候補し、念願の国政進出を果たした。

第二次世界大戦後の混乱期を経て、日本の新たな政治体制が構築される中で、松永は戦前の経験を活かし、日本社会党の結党に重要な役割を果たした。党内においては、中央執行委員、党統制委員長、そして埼玉県連合会の会長といった指導的な役職を歴任し、党の組織固めと政策形成に貢献した。

戦後の国政選挙では、1946年4月の第22回総選挙に埼玉県選挙区から出馬して当選。続く第23回総選挙でも連続して議席を獲得し、衆議院議員として通算3期務めた。その後、活躍の場を参議院に移すことを決意し、1950年6月の第2回参議院議員通常選挙に埼玉県地方区から出馬し、当選を果たした。

国会議員として活動した期間には、衆議院においては司法委員長を務め、また芦田内閣においては法務政務次官として、司法・法務行政において重要な役割を担った。参議院では、補助金等の臨時特例等に関する法律案に関する特別委員長を務めるなど、幅広い分野での立法活動に貢献した。

参議院議員在任中の1955年3月27日、埼玉県浦和市（現さいたま市）の埼玉会館で開催されていた全国身体障害者大会に出席していた最中に、突然脳溢血に見舞われ倒れた。そのまま浦和市第一病院に入院し、懸命な治療が続けられたが、同年4月14日に63歳で死去した。

その死に際し、永年の功績が認められ、死去した日付をもって勲四等から勲三等瑞宝章に昇叙追贈され、さらに従四位に叙された。

著作

彼の著作は、専門分野である法律や、長年関わった労働問題に関するものが主である。

『商業信用状論』（巌松堂書店、1923年）
『英国労働組合法論』（世界文献刊行会、1926年）
『国家財政論』（クララ社、1929年）
『地方財政論』（クララ社、1929年）
『労働組合法とは何ぞや』（邦光堂、1930年）

参考文献

衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』日外アソシエーツ、2003年。

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