松浦玲

松浦玲

松浦玲（まつうら れい、1931年10月4日 - ）は、日本の歴史学者であり、日本近代政治史、政治思想史を専門としています。広島県に生まれ、激動の時代を研究者として歩んできました。

経歴

松浦は京都大学在学中の1953年、全学連主催の学園復興会議の京大開催に尽力します。しかし、その過程で発生した荒神橋事件などの混乱の責任を問われ、大学当局から放学処分を受け、大学を中退することになりました（松浦君放学事件）。

その後、立命館大学大学院を修了し、京都市史編纂所主幹を経て、桃山学院大学教授に就任しました。研究者としての道を歩み始め、幕末・明治時代の政治史・思想史に関する多くの著書や論文を発表し、その分野における重要な研究者としての地位を確立しました。

研究内容

松浦の研究は、幕末・明治時代の政治史・思想史に焦点を当てています。特に、横井小楠および勝海舟の研究者として知られ、その研究は高い評価を受けています。彼は、これらの人物の思想や行動を通じて、日本の近代化における政治や社会の変革を深く掘り下げました。

著書

松浦は、数多くの著書を執筆しています。以下はその一部です。

『暗殺－明治維新の思想と行動』（徳間書店、1966年/辺境社、1979年）
『勝海舟』（中公新書、1968年）
『勝海舟と幕末明治』（講談社、1973年）
『日本人にとって天皇とは何であったか』（辺境社、1974年、新版1983年）
『徳川慶喜　将軍家の明治維新』（中公新書、1975年、増補版1997年）
『横井小楠－儒学的正義とは何か』（朝日新聞社「朝日評伝選」、1976年/朝日選書、2000年/ちくま学芸文庫、2010年）
『明治維新私論－アジア型近代の模索』（現代評論社、1979年）
『続 日本人にとって天皇とは何であったか　「大日本帝国」と「日本国」』（辺境社、1979年）
『明治の海舟とアジア』（岩波書店、1987年）
『幕末・京大阪 歴史の旅』（朝日選書、1999年）
『検証・龍馬伝説』（論創社、2001年）
『君臣の義を廃して 続々 日本人にとって天皇とは何であったか』（辺境社、2002年）
『還暦以後』（筑摩書房、2002年/ちくま文庫、2006年）
『新選組』（岩波新書、2003年）
『坂本龍馬』（岩波新書、2008年）
『勝海舟』（筑摩書房、2010年）
『勝海舟と西郷隆盛』（岩波新書、2011年）
『徳川の幕末』（筑摩選書、2020年）

これらの著書は、幕末・明治維新期の政治、思想、社会に関する深い洞察を提供しています。

主な編著

『近代日本の名著2 先駆者の思想』（奈良本辰也と共編、徳間書店、1966年）
『日本の名著30　佐久間象山・横井小楠』（中央公論社、1970年。中公バックス、1984年）
『勝海舟全集』（江藤淳らと共編、全24巻、講談社、1972～1994年）

主な論文

「思想史と幕藩体制」（『日本史研究』67、1963年）
「幕藩制解体期の思想史的特質（上）（下）」（『日本史研究』74・78、1964・1965年）
「江戸後期の政治思想」（『岩波講座日本歴史13』岩波書店、1964年）
「近世中期における経験的合理主義の意味について」（『歴史評論』161、1964年）
「近世後半期の思想」（奈良本辰也編『近世日本思想史研究』河出書房新社、1965年）
「明治維新の思想史的基盤」（『日本史研究』90、1967年）
「近世前期の思想と文化」（歴史学研究会・日本史研究会編『講座日本史4』東京大学出版会、1970年）
「日本における儒教型理想主義の終焉（一）～（四）」（『思想』571・577・592・630、1972・1972・1973・1976年）
「弘化・嘉永期の勝海舟」（『桃山学院大学人文科学研究』25－1、1989年）
「幕末思想家のアメリカ認識」（『環』8、2002年）
「民間「浪士」と維新期の改革」（『環』13、2003年）

人物

松浦玲は、その学問的業績を通じて、日本の近代史研究に多大な貢献をしました。彼の研究は、日本の近代化における政治、思想、社会の変革を理解する上で不可欠なものとなっています。

外部リンク

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『松浦玲』 - コトバンク
いいまち Library 取材模様

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