松田直樹 (ボクサー)
松田直樹は、1976年6月29日に神奈川県小田原市で生まれた日本の元プロボクサーです。第55代日本フェザー級王者、そして第40代OPBF東洋太平洋フェザー級王者としてその名をボクシング史に刻みました。キャリアは地元のコーエイ工業小田原ボクシングジムでスタートし、プロ活動の後半には帝拳ボクシングジムに所属しました。
キャリアの始まりは早く、湯河原高等学校在学中の17歳でプロデビュー。1994年4月8日、ライトフライ級でのプロ初戦では入谷俊に4ラウンド判定で勝利し、白星を挙げました。その後も2連勝を飾り、プロ入りから3連勝をマークします。しかし、同年11月4日に行われた東日本ライトフライ級新人王準決勝で今井甲治に敗れ、これがキャリア初の黒星となりました。
この後、松田はフライ級へ階級を上げ、再び3連勝を飾りますが、1995年12月16日の東日本フライ級新人王決勝では川上勝幸に6ラウンド判定負けを喫し、新人王のタイトルには届きませんでした。さらに階級をスーパーフライ級に上げて3連勝を記録した後、バンタム級へ転向した初戦（1997年8月19日）で村越裕昭に6ラウンドTKOで敗れ、初のKO負けを経験します。その後も判定負けが続き、一時は3連敗という苦しい時期を過ごしました。1999年8月7日には清水ケン太と対戦し、4ラウンド負傷判定で引き分けとなり、連敗を止めました。同年12月4日の中島吉謙戦も8ラウンド判定で引き分けに終わりますが、その後は4連勝を飾るなど、戦績は再び上向きました。
2005年11月19日、B:Tight!スーパーバンタム級決勝では親友である関口幸生との対戦を制し、4ラウンド判定勝利で優勝を果たします。この勝利を機に勢いを増し、2006年4月30日にはチェン・ペットジンダーに10ラウンド判定勝ち。この勝利で念願だった日本ランキングに8位で名を連ねることとなりました。同年9月9日には平野博規に8ラウンド判定勝ちを収め、ランキングをさらに上げました。
2007年には帝拳ボクシングジムへ正式に移籍しました。すでに数年前から上京し、帝拳ジムで練習を積んでいました。この頃、メキシコ遠征を経験し、キャリアの大きな転機を迎えます。
2007年3月31日、フェザー級に階級を上げてメキシコのカンクンで、越本隆志を破った経験を持つ前WBC世界フェザー級王者ルディ・ロペス（メキシコ、当時WBC3位）と対戦。予想を覆す5ラウンドKO勝利を飾り、世界から注目を集める番狂わせを演じました。この快挙は、日本のボクシングファンにも大きなインパクトを与えました。
同年12月15日には再びメキシコでルディ・ロペスと再戦。WBC世界フェザー級挑戦者決定戦として行われたこの試合は、当初松田の8ラウンドTKO勝ちと発表されましたが、後に無効試合となりました。この結果、2002年8月3日の坂本健二戦から続いていた15連勝記録が途絶えました。
2008年5月31日、メキシコで行われたグティ・エスパダス・ジュニア（メキシコ）とのWBC世界フェザー級挑戦者決定戦では、序盤にダウンを喫し、ダメージがないことをアピールするも、レフェリーストップにより2ラウンドTKO負けを喫しました。
海外での苦い経験を経て日本へ戻った松田は、国内でタイトル獲得を目指します。2008年10月4日、同門の粟生隆寛が返上し空位となっていた日本フェザー級王座の決定戦に出場。国内での試合は1年3ヶ月ぶりでしたが、澤永真佐樹に5ラウンドTKOで勝利し、悲願の日本王座を獲得しました。
日本王者として、2009年2月21日には1位の梅津宏治を相手に初防衛戦を行いました。この試合は1-1の引き分け判定となり、かろうじて王座を防衛しました。同年6月6日の2度目の防衛戦では5位の上野則之と対戦。序盤にダウンを奪われるも立て直し、最終10ラウンドにTKO勝利を収めました。2009年11月7日には、再び梅津と対戦し、3-0の判定勝利で3度目の防衛に成功。この活躍により、東日本ボクシング協会の月間最優秀選手賞を受賞しました。しかし、OPBF王座獲得を目指すため、この日本王座は同年12月に返上しました。
日本王座返上後、松田はOPBF東洋太平洋タイトルに挑戦。2010年3月6日、フィリピン王者でOPBF1位のビンビン・ルフィーノと空位のOPBF東洋太平洋フェザー級王座を争いました。試合は互いにダウンを奪い合う激しい展開となりますが、松田が2-1の判定勝利を収め、東洋太平洋王座を獲得しました。
2010年7月3日には、OPBF5位の蘇晶錫を相手に初防衛戦を行い、3-0の判定勝利で王座を守りました。しかし、同年11月6日に行われた2度目の防衛戦では、OPBF11位のジョネル・アリビオと対戦。偶然のバッティングで眉をカットし、ダウンを奪われる苦しい展開の中、ダウンを奪い返すなど粘りを見せましたが、6ラウンドにカウンターを受けてダウン。タオルが投入され、TKO負けとなり、王座から陥落しました。
再びOPBF王座返り咲きを目指し、2011年12月4日、OPBF東洋太平洋フェザー級チャンピオンの大沢宏晋に挑戦。しかし、1ラウンドに右まぶたをカットし、出血がひどくなったため、8ラウンド途中にレフェリーストップによるTKO負けとなりました。
この試合を最後にリングを降りることを決意し、2012年3月17日に自身のブログで現役引退を発表しました。
引退後、松田は故郷である小田原市で新たなスタートを切ります。2015年5月3日、小田原駅前のビルにボクササイズフィットネスジム「ambio（アンビオ）」をオープンさせました。将来のJBC加盟を見据え、プロサイズのリングを設置する一方で、ヨガやピラティス、アルファビクスといったプログラムも提供し、幅広い年齢層や目的を持つ人々が利用できるジム運営を行っています。
エピソードとして、同姓同名で同い年のサッカー元日本代表、松田直樹氏との交流がありました。共通の知人を介して、いつか会いたいと語り合っていた矢先、サッカーの松田氏が急性心筋梗塞で倒れた際には、自身のブログで回復を祈るメッセージを綴りました。そして、残念ながら急逝された際も、ブログで哀悼の意を表しています。同年10月には、ジャーナリストと共にサッカー松田氏のご実家を訪問し、ご遺族から「もうひとりの直樹さんも応援しなくちゃ」という温かい言葉をいただいたそうです。その際に、サッカー松田氏が使用していたユニホームを譲り受けたという心温まるエピソードも残されています。
松田直樹のプロボクシング戦績は、通算48戦33勝（13KO）10敗（5KO）4分1無効試合です。
獲得タイトルは以下の通りです。
第2回B:Tight!スーパーバンタム級 優勝
第55代日本フェザー級王座（防衛3度後に返上）
* 第40代OPBF東洋太平洋フェザー級王座（防衛1度後に陥落）
彼のボクシングキャリアは、数々の勝利と敗北、階級変更、そして劇的な番狂わせやタイトル獲得など、まさに波乱に満ちたものでした。引退後も地元でボクシングに関わる活動を続け、第二の人生を歩んでいます。
キャリアの始まりは早く、湯河原高等学校在学中の17歳でプロデビュー。1994年4月8日、ライトフライ級でのプロ初戦では入谷俊に4ラウンド判定で勝利し、白星を挙げました。その後も2連勝を飾り、プロ入りから3連勝をマークします。しかし、同年11月4日に行われた東日本ライトフライ級新人王準決勝で今井甲治に敗れ、これがキャリア初の黒星となりました。
この後、松田はフライ級へ階級を上げ、再び3連勝を飾りますが、1995年12月16日の東日本フライ級新人王決勝では川上勝幸に6ラウンド判定負けを喫し、新人王のタイトルには届きませんでした。さらに階級をスーパーフライ級に上げて3連勝を記録した後、バンタム級へ転向した初戦（1997年8月19日）で村越裕昭に6ラウンドTKOで敗れ、初のKO負けを経験します。その後も判定負けが続き、一時は3連敗という苦しい時期を過ごしました。1999年8月7日には清水ケン太と対戦し、4ラウンド負傷判定で引き分けとなり、連敗を止めました。同年12月4日の中島吉謙戦も8ラウンド判定で引き分けに終わりますが、その後は4連勝を飾るなど、戦績は再び上向きました。
2005年11月19日、B:Tight!スーパーバンタム級決勝では親友である関口幸生との対戦を制し、4ラウンド判定勝利で優勝を果たします。この勝利を機に勢いを増し、2006年4月30日にはチェン・ペットジンダーに10ラウンド判定勝ち。この勝利で念願だった日本ランキングに8位で名を連ねることとなりました。同年9月9日には平野博規に8ラウンド判定勝ちを収め、ランキングをさらに上げました。
2007年には帝拳ボクシングジムへ正式に移籍しました。すでに数年前から上京し、帝拳ジムで練習を積んでいました。この頃、メキシコ遠征を経験し、キャリアの大きな転機を迎えます。
2007年3月31日、フェザー級に階級を上げてメキシコのカンクンで、越本隆志を破った経験を持つ前WBC世界フェザー級王者ルディ・ロペス（メキシコ、当時WBC3位）と対戦。予想を覆す5ラウンドKO勝利を飾り、世界から注目を集める番狂わせを演じました。この快挙は、日本のボクシングファンにも大きなインパクトを与えました。
同年12月15日には再びメキシコでルディ・ロペスと再戦。WBC世界フェザー級挑戦者決定戦として行われたこの試合は、当初松田の8ラウンドTKO勝ちと発表されましたが、後に無効試合となりました。この結果、2002年8月3日の坂本健二戦から続いていた15連勝記録が途絶えました。
2008年5月31日、メキシコで行われたグティ・エスパダス・ジュニア（メキシコ）とのWBC世界フェザー級挑戦者決定戦では、序盤にダウンを喫し、ダメージがないことをアピールするも、レフェリーストップにより2ラウンドTKO負けを喫しました。
海外での苦い経験を経て日本へ戻った松田は、国内でタイトル獲得を目指します。2008年10月4日、同門の粟生隆寛が返上し空位となっていた日本フェザー級王座の決定戦に出場。国内での試合は1年3ヶ月ぶりでしたが、澤永真佐樹に5ラウンドTKOで勝利し、悲願の日本王座を獲得しました。
日本王者として、2009年2月21日には1位の梅津宏治を相手に初防衛戦を行いました。この試合は1-1の引き分け判定となり、かろうじて王座を防衛しました。同年6月6日の2度目の防衛戦では5位の上野則之と対戦。序盤にダウンを奪われるも立て直し、最終10ラウンドにTKO勝利を収めました。2009年11月7日には、再び梅津と対戦し、3-0の判定勝利で3度目の防衛に成功。この活躍により、東日本ボクシング協会の月間最優秀選手賞を受賞しました。しかし、OPBF王座獲得を目指すため、この日本王座は同年12月に返上しました。
日本王座返上後、松田はOPBF東洋太平洋タイトルに挑戦。2010年3月6日、フィリピン王者でOPBF1位のビンビン・ルフィーノと空位のOPBF東洋太平洋フェザー級王座を争いました。試合は互いにダウンを奪い合う激しい展開となりますが、松田が2-1の判定勝利を収め、東洋太平洋王座を獲得しました。
2010年7月3日には、OPBF5位の蘇晶錫を相手に初防衛戦を行い、3-0の判定勝利で王座を守りました。しかし、同年11月6日に行われた2度目の防衛戦では、OPBF11位のジョネル・アリビオと対戦。偶然のバッティングで眉をカットし、ダウンを奪われる苦しい展開の中、ダウンを奪い返すなど粘りを見せましたが、6ラウンドにカウンターを受けてダウン。タオルが投入され、TKO負けとなり、王座から陥落しました。
再びOPBF王座返り咲きを目指し、2011年12月4日、OPBF東洋太平洋フェザー級チャンピオンの大沢宏晋に挑戦。しかし、1ラウンドに右まぶたをカットし、出血がひどくなったため、8ラウンド途中にレフェリーストップによるTKO負けとなりました。
この試合を最後にリングを降りることを決意し、2012年3月17日に自身のブログで現役引退を発表しました。
引退後、松田は故郷である小田原市で新たなスタートを切ります。2015年5月3日、小田原駅前のビルにボクササイズフィットネスジム「ambio（アンビオ）」をオープンさせました。将来のJBC加盟を見据え、プロサイズのリングを設置する一方で、ヨガやピラティス、アルファビクスといったプログラムも提供し、幅広い年齢層や目的を持つ人々が利用できるジム運営を行っています。
エピソードとして、同姓同名で同い年のサッカー元日本代表、松田直樹氏との交流がありました。共通の知人を介して、いつか会いたいと語り合っていた矢先、サッカーの松田氏が急性心筋梗塞で倒れた際には、自身のブログで回復を祈るメッセージを綴りました。そして、残念ながら急逝された際も、ブログで哀悼の意を表しています。同年10月には、ジャーナリストと共にサッカー松田氏のご実家を訪問し、ご遺族から「もうひとりの直樹さんも応援しなくちゃ」という温かい言葉をいただいたそうです。その際に、サッカー松田氏が使用していたユニホームを譲り受けたという心温まるエピソードも残されています。
松田直樹のプロボクシング戦績は、通算48戦33勝（13KO）10敗（5KO）4分1無効試合です。
獲得タイトルは以下の通りです。
第2回B:Tight!スーパーバンタム級 優勝
第55代日本フェザー級王座（防衛3度後に返上）
* 第40代OPBF東洋太平洋フェザー級王座（防衛1度後に陥落）
彼のボクシングキャリアは、数々の勝利と敗北、階級変更、そして劇的な番狂わせやタイトル獲得など、まさに波乱に満ちたものでした。引退後も地元でボクシングに関わる活動を続け、第二の人生を歩んでいます。
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