板倉勝宣

板倉勝宣の生涯と登山の功績

板倉勝宣（いとうかつのぶ）は、1897年2月12日に東京に誕生した登山家であり、スキー登山の先駆者として日本の山岳史に名を刻んでいます。彼は備中松山藩の最後の藩主、板倉勝弼の庶子であり、学習院で教育を受けました。ここで、彼は中等科の頃から登山に興味を持ち、学校内に登山をする仲間が増えたこともありました。

学業と登山活動の始まり

1919年に北海道帝国大学の農学部に入学した板倉は、大学生活の中でスキー部に所属し、特にスキー登山に対する情熱を燃やしました。1921年には、日本初の山岳雑誌「山とスキー」を加納一郎と共に発刊し、登山に関する情報を広く発信する活動を行いました。彼のこの功績は、当時の若手登山家たちの交流と認識を広めるのに寄与しました。

初登頂とその影響

板倉は1922年にスキーを用いて佐幌岳に登り、大雪山系の旭岳にも初登頂を果たしました。この年、槍ヶ岳北鎌尾根の登攀にも取り組みましたが、新聞で報じられた初登頂の記録には誤解も生じました。実際には、ウォルター・ウェストンが先に到達していたため、報道がもたらした混乱は登山界に影響を与えました。

同年8月には、慶応義塾大学山岳部の精鋭たちと共に穂高連峰の岩登り合宿に参加し、日本の登山界における重要な交流を深めました。このように、板倉はその若き金字塔として、多くの仲間と共に新たな登山の地平を切り開いていました。

最期の山行と遭難

1923年1月、板倉は友人の槇有恒、三田幸夫と共に立山へ向かいました。スキー登山を行いながら途中までの好天を享受しましたが、天候が急激に悪化し、登頂を断念せざるを得ませんでした。

帰路において、新年早々の猛吹雪に見舞われた一行は、その後別れたり、合流の困難が生じました。板倉は松尾峠付近で低体温症に陥り、命を落としました。彼が遭難した経緯は、冬の立山における知見の不足と、スキーの使用による移動速度の遅れが重なったものであり、その点は今でも教訓とされています。

遺族と遭難後の影響

板倉の遭難は日本山岳会に衝撃を与え、さらなる安全対策の一環として登山者のための山小屋の建設が進められることにつながりました。その結果、13カ所の山小屋や慰霊碑が建設され、板倉の功績が後世に伝えられることとなりました。特に、芦峅寺内に建立された慰霊碑は、今でも彼の記憶を語り継いでいます。

板倉勝宣の短い生涯は、彼が登山界にもたらした影響を通じて、今なお多くの登山者に受け継がれています。彼の情熱と探求心は、彼が命を尽くした自然の美しさを理解し、登山の重要性を再認識させるものとなっています。

もう一度検索