板鼻宿

板鼻宿（いたはなしゅく）

板鼻宿は、中山道六十九次（木曽街道六十九次）のうち、江戸から数えて14番目に位置する宿場町です。現在の群馬県安中市板鼻にその名残をとどめています。

概要

日本橋から28里25町40間（約112.7km）、京からは107里7町20間の距離にありました。天保14年（1843年）の調査によると、人口は1,422人、総軒数は312軒。本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠54軒が軒を連ねていました。碓氷川の川止めが頻繁に発生したため、中山道上州七宿の中では最大級の規模を誇り、50軒を超える旅籠があったのは、板鼻宿より京方面では塩尻宿のみでした。

江戸時代初期には板鼻藩が置かれましたが、寛延2年（1749年）以降は天領となり、代官支配となりました。

本陣・脇本陣・問屋

板鼻宿本陣・木島家

奥州藤原氏の流れをくむとされる木島家は、伊勢御師かつ名主を務めました。本陣の屋敷は現在の板鼻公民館の位置にあり、間口15間半、奥行30間で地坪465坪、建坪99坪という広大なものでした。文久元年（1861年）11月10日には、孝明天皇皇女和宮が江戸へ下向する際に木島家に宿泊し、その書院が復元されています。書院裏には、和宮の初潮のものを埋めたという伝承のある石祠が残されています。

脇本陣・福田家

福田家は倉賀野十六騎の一人で、守護上杉氏の被官だったとされています。屋敷は間口16間、奥行31間半で地坪504坪でした。

問屋場

板鼻宿には問屋場が2箇所設けられ、月の前半と後半で2家が交代で務めました。寛政・享和の頃（18世紀末から19世紀初頭）は本陣・本家木島と分家福田が務めましたが、弘化2年（1845年）より本家木島に代わり脇本陣本家福田が問屋となり、さらに元治元年（1864年）に分家木島が分家福田と隔月交代で務める形で問屋に加わりました。

碓氷川の渡し

板鼻宿の南西には碓氷川が流れ、江戸時代前半は橋が架けられていなかったため、対岸の中宿に渡るには人足の肩や人足の担ぐ輦台に乗っていく必要がありました（川越制度）。

延享4年（1747年）に碓氷川に土橋が架けられ、当初は10月から翌年3月までのみの利用でしたが、ほどなく年間を通して土橋を利用できるようになりました。しかし、洪水で土橋が落橋すると、板鼻宿など近隣集落が人足を出して川越を行う必要がありました。

隣の宿

中山道

高崎宿 - 板鼻宿 - 安中宿

最寄り駅

東日本旅客鉄道（JR東日本）信越本線 安中駅

参考文献

相葉, 伸 編『中山道』みやま文庫〈みやま文庫 36〉、1970年5月10日。doi:10.11501/12062346。
安中市史刊行委員会 編『安中市史』安中市、2003年11月1日。
群馬県教育委員会『中山道』 11巻3718570〈群馬県歴史の道調査報告書〉、1982年3月（原著1982年3月）。doi:10.24484/sitereports.101977。 NCID BN12343098。

関連項目

板鼻藩

外部リンク

板鼻本陣跡｜安中市ホームページ

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