林屋庄五郎

林屋庄五郎について

林屋庄五郎（はやしや しょうごろう）は、生没年不詳の江戸時代末期の浮世絵版元です。彼は、江戸の米沢町（現在の東京都中央区東日本橋）一丁目に店を構え、浮世絵の出版を手がけました。当時の浮世絵界において、林屋庄五郎は重要な役割を果たし、多くの名作を世に送り出しました。

版行物

林屋庄五郎は、以下のような浮世絵を出版しました。

歌川広重
異体隷書東海道：嘉永年間（1848年-1853年）前期に刊行された横大判のシリーズで、10枚の存在が確認されています。広重の独特な画風と、異体隷書という書体が組み合わさった、珍しい作品です。

歌川国貞
当世好男子伝：安政6年（1859年）に刊行された大判3枚揃の作品です。当時の流行や風俗を反映した、魅力的な人物像が描かれています。

落合芳幾
見立て似たかきん魚：文久3年（1863年）に刊行された大判3枚揃の作品です。金魚を題材にした、ユーモラスで洒落の効いた作品です。

豊原国周
朝参花万灯：文久3年（1863年）に刊行された大判3枚揃の作品です。華やかな花と万灯が描かれた、豪華な作品です。

これらの作品は、いずれも江戸時代の人々の生活や文化、そして芸術的な感性を伝えてくれます。

浮世絵版元としての役割

浮世絵版元は、絵師の描いた原画をもとに版木を彫り、摺り師が摺って作品を制作します。林屋庄五郎は、これらの工程を統括し、作品を世に送り出す重要な役割を担っていました。版元は、絵師の選定、作品の企画、出版、販売など、多岐にわたる業務を行っていました。林屋庄五郎は、優れた作品を世に出すために、絵師たちと密接な関係を築き、協力しながら浮世絵制作に取り組んだと考えられます。

林屋庄五郎に関する参考文献

林屋庄五郎についての研究は、以下の文献を参照することで、より深く理解することができます。

『浮世絵大家集成 続4』（大鳳閣書房、1933年）
石井研堂「稿本広重版画目録大成」（『浮世絵志』第2号、芸艸堂、1929年）
内田実『広重』（岩波書店、1932年）
丹波恒夫『広重一代』（朝日新聞社、1965年）
鈴木重三『広重』（日本経済新聞社、1970年）
『角川日本地名大辞典13東京都』（角川書店、1978年）
菊池貞夫、小林忠、村上清造「林屋庄五郎」（『原色浮世絵大百科事典3　様式・彫摺・版元』大修館書店、1982年）
『切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩』（人文社、2002年）
日野原健司 著、太田記念美術館 編『落合芳幾』（2018年）

これらの参考文献は、林屋庄五郎だけでなく、当時の浮世絵界全体の動向を知る上でも非常に役立ちます。

関連事項

林屋庄五郎に関する情報に関連して、以下の事項も参照してください。

浮世絵の主な版元：当時の浮世絵制作を支えた、他の版元についても知ることができます。
地本問屋：浮世絵版元は、地本問屋の一種であり、地本問屋の役割や歴史を知ることで、当時の出版業界の状況を理解することができます。
東海道五十三次_(浮世絵)#保永堂版以外の五十三次：歌川広重の東海道五十三次の作品は、複数の版元から出版されており、林屋庄五郎が関わった可能性についても考察することができます。

まとめ

林屋庄五郎は、江戸時代末期に活躍した重要な浮世絵版元であり、歌川広重、歌川国貞、落合芳幾、豊原国周など、著名な浮世絵師たちの作品を世に送り出しました。彼の版行物は、当時の人々の生活や文化、そして芸術的な感性を今に伝える貴重な資料です。これらの情報を参考に、林屋庄五郎の活動について、さらに詳しく調べてみてください。

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