林間学校

林間学校とは

林間学校（りんかんがっこう）とは、小学校や中学校などが、春から秋にかけて山間部や高原の宿泊施設に宿泊し、ハイキングや登山、博物館見学などを行う学校行事の一つです。校外学習の中でも規模が大きく、集団での宿泊を伴うのが特徴です。学習指導要領では、特別活動の学校行事として「遠足・集団宿泊的行事」に分類されます。類似の行事として、臨海学校、修学旅行、学校登山などがあります。

歴史

林間学校のルーツは、19世紀中頃のヨーロッパにおける「フェリーンコロニー（休暇聚落）」という取り組みに遡ります。これは、長期休暇中に虚弱な児童を自然豊かな場所で生活させることで健康増進を図るものでした。日本には1888年（明治21年）に、ベルリン留学中の瀬川昌耆によってドイツの学校衛生事情として紹介され、その後、瀬川や衛生学者の坪井次郎らが貧困家庭の虚弱児を対象とした慈善事業として普及を推進しました。

当初は「夏季休養団」や「避暑保養所」などと呼ばれていましたが、同時期に紹介されたドイツの「ワルドシューレ（森林学校）」の訳語である「林間学校」という名称が定着しました。ワルドシューレは、森林の中に建設された常設の学校で、虚弱児の健康回復と教育を目的とした施設です。当初は「森林学校」と訳されていましたが、林学を教える学校と混同される可能性があったため、「林の内の学校」という意味合いの「林間学校」という名称が提案されました。

日本における林間学校の始まりには諸説ありますが、1888年（明治21年）に宣教師C.T.アレクサンダーが軽井沢の別荘に生徒を滞在させたとする説や、1905年（明治38年）に東京市の精華小学校が群馬県に休暇集落を設けたとする説があります。

導入当初の林間学校の主な目的は、虚弱体質の改善と健康な身体づくりでした。参加対象も虚弱児が中心で、2～4週間程度の長期にわたるものでした。衛生的な効果を高めるために様々な取り組みが行われ、身体測定も実施されました。慈善事業として導入されましたが、実際には費用がかかるため、都市部の中産階級の児童が主な参加者となりました。その後、保護者の意見が反映されるようになり、大正末期頃には人格陶冶という教育的な意義も重視されるようになりました。

1938年（昭和13年）には全国で16の林間学校施設がありましたが、戦時中は中断されました。戦後、1958年（昭和33年）の学習指導要領で、心身の健全な発達を目的とした「学校行事」として林間学校が位置づけられたことで、各学校で広く実施されるようになりました。この頃から、飯ごう炊さんやキャンプファイヤーなどの野外活動が活発になりました。1970年代からは、国公立の「少年自然の家」の整備が進められ、林間学校の実施施設として活用されるようになりました。

定番の行事

林間学校では、以下のような様々な活動が行われます。

テントの設営（宿泊場所が建物の場合を除く）
登山
飯盒炊爨（はんごうすいさん）
バーベキュー
キャンプファイヤー
オリエンテーリング

これらの活動を通して、児童・生徒は自然に触れ合い、協力し合うことの大切さを学びます。また、集団生活を通して自立心や責任感を養うことも目的とされています。

その他

東武鉄道では、団体専用列車「林間学校」が運行されることがあります。
札幌市では、昭和52年度から林間学校が開催されており、現在も継続されています。

まとめ

林間学校は、自然の中で様々な体験を通して、児童・生徒の心身の成長を促す重要な教育活動です。歴史的な背景や目的を踏まえ、より効果的な教育活動となるよう、今後も様々な工夫がなされていくことでしょう。

参考文献

渡辺貴裕「〈林間学校〉の誕生--衛生的意義から教育的意義へ」『京都大学大学院教育学研究科紀要』第51号、京都大学大学院教育学研究科、2005年3月31日、343-356頁

関連項目

学習指導要領
特別活動
学校行事
合宿
臨海学校
自然学校
修学旅行
学校登山
キャンプ

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