柳本氏

柳本氏の歴史

柳本氏は、日本の室町時代から戦国時代にかけて畿内で活動していた一族です。この時代は、応仁の乱をはじめとする数々の内戦が展開され、地域の権力関係が著しく変動した時期でもあります。柳本氏もまた、その時代の影響を受けながらその存在を確立していきました。

概要

柳本氏の初めての記録は出雲守家藤に遡ります。彼は安富氏の家臣だったと考えられており、その子である柳本又次郎長治が細川京兆家に仕官をしました。長治は、明応7年（1498年）には細川政元に仕えるようになりますが、柳本氏は伝統的な細川氏の家臣ではなく、政元から個人的に信任されていたと考えられています。長治は、永正4年（1507年）に政元が暗殺された後、細川高国に仕官しました。

長治は、永正8年（1511年）の船岡山合戦での活躍や、同17年（1520年）の細川澄元との戦いで敗北し、その後西岡一揆にて討ち取られました。長治の死後、高国の命によって波多野氏出身の柳本賢治が家督を継ぐことになります。賢治の名前には高国に仕えていた細川尹賢の偏諱が含まれていました。

賢治の勢力拡大

賢治は、大永7年（1527年）2月16日に柳本又次郎賢治と名乗り、長治の嫡子と同名の柳本弾正忠を名乗ることになります。賢治は当時、細川高国と対立しており、大永6年（1526年）に高国の家臣が自身の兄を殺害されたことをきっかけに、阿波国の細川晴元や三好元長と手を組み、高国へと攻撃を仕掛けました。

桂川の戦いでは、高国に勝利し、彼を京から追放することに成功しました。その後、賢治は阿波国にいた足利義維を堺に迎え、堺公方として擁立しました。それと同時に、賢治は実相庵を拠点にし、地元の国人たちに柳本姓を名乗らせるなど、彼の勢力を強化していきました。

争いと暗殺

しかし、義晴との和睦を模索しながらも、賢治は高国との戦争継続を望む義維や、京兆家との和睦を目指す晴元と対立し、最終的には出家しました。享禄3年（1530年）、別所就治の求めに応じて播磨国へ出征しますが、その最中、家臣の裏切りに遭い、暗殺される運命をたどります。

柳本家の後継者たち

賢治の死後、幼い子供、柳本虎満丸が家督を承継することになりますが、彼はまだ4.5歳と若く、一族の柳本甚次郎が名代としてその役割を担いました。しかし、甚次郎は三好元長との権力争いの中で討ち取られてしまいます。

虎満丸は天文2年（1533年）に主君である細川晴元から代官職の承認を受けますが、その後、彼の行方は不明となります。柳本家の次の名代、柳本孫七郎元俊が虎満丸の後に活動しましたが、元俊自体は別の人物であるとの説もあります。

結論

柳本氏は、室町時代から戦国時代にかけ、細川氏の周辺で活躍し、数々の戦闘や政変に関与した一族でした。その歴史は、当時の権力関係の移り変わりを物語るものであり、複雑な人間関係や戦略が展開されました。柳本氏の影響力は、当時の日本の政治情勢を理解する上で欠かせない要素です。

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