柴武

柴 武（さい ぶ）

柴武は紀元前163年に亡くなった前漢の著名な将軍であり、漢の高祖劉邦のもとで数々の戦功を挙げました。姓については、『史記』や『漢書』において柴または陳の二つの呼び名が存在し、彼の家族背景を示しています。息子には柴奇（陳奇）がいます。

略歴

柴武はかつて秦に対する反乱が勃発していた時期に、薛地区で兵卒2500人を指揮する将軍として登場しました。彼はまず東阿を救援し、その後、覇上に至りました。高祖2年（紀元前205年）には漢の指揮下に入ることとなります。

彼の軍事的な活躍の一例として、斉との戦いでの勝利が挙げられます。柴武は斉軍の指揮官である田既を撃破し、大きな功績を上げました。また、劉邦や斉王韓信が垓下で項羽と戦う際には、柴武は周勃と共に劉邦の後方を守っていました。これにより、彼は漢の軍事力を支える重要な存在となりました。

劉邦が項羽に勝利し、皇帝となった後の高祖6年（紀元前201年）、柴武は棘浦侯として列侯に封じられ、名声を確立しました。ところが、高祖11年（紀元前196年）には、反乱を起こした韓王信が匈奴に逃れた後、再度侵攻してきました。この時、漢は柴武を出撃させ、彼は韓王信に対して汉に帰還を促す手紙を送りましたが、韓王信は応じず、両者は戦闘に入ります。結果、柴武は参合を攻め滅ぼし、韓王信を討ち取りました。

その後、高后8年（紀元前180年）に呂后が死去し、呂氏一族は周勃や陳平といった将軍によって滅ぼされました。そして文帝が新たに皇帝に擁立された折、柴武はその任にあたっていました。文帝が即位した直後、柴武は南越や朝鮮の討伐を進言しましたが、これが却下されたこともあります。

文帝前3年（紀元前177年）には、反乱を引き起こした済北王劉興居を討伐する任務を受け、これに成功し、劉興居を撃破して捕らえ、最終的に自決に追い込んでいます。

しかし、文帝前6年（紀元前174年）には柴武の息子、柴奇が淮南王劉長の反乱計画に関与していたことが発覚し、柴奇は処刑されることとなります。このため、柴武が文帝後元年（紀元前163年）に亡くなった際、彼の称号は断絶され、相続が許されませんでした。柴武はその生涯を通じて数多くの軍事的功績を残しており、剛侯としての称号を与えられました。

参考文献

• - 司馬遷『史記』
• - 班固『漢書』

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