栃司哲史

栃司哲史：突き押し相撲で名を馳せた元関脇

栃司哲史（とちつかさ てつお）は、1958年4月25日、愛知県名古屋市中川区に生まれました。本名を後藤哲雄といい、春日野部屋に所属した元大相撲力士です。最高位は西関脇（1988年1月場所）で、現役時代の体格は180cm、159kg。突き、押し、突き落とし、いなし、叩きを得意とする、技巧派の力士でした。

現在は年寄・入間川として、雷部屋（出羽海一門）の部屋付き親方を務めています。雷部屋は、以前は入間川部屋として知られていました。

生い立ちと入門

実家は建設会社「有限会社後藤クレーン」を経営しており、裕福な家庭で育ちました。幼少期からスポーツ万能で、小学校時代には水泳で活躍。中京中学校に進学すると相撲部に入部し、その才能を開花させます。全国中学校相撲選手権大会で優勝し、中学生[[横綱]]に輝くなど、輝かしい成績を収めました。

中京高等学校（現在の中京大学附属中京高等学校）を経て、日本大学に進学。大学相撲部では、全国学生相撲選手権大会準優勝という成績を残しましたが、個人タイトルは1個にとどまり、やや不完全燃焼な思いを抱えていました。

1981年1月、大学卒業を目前に春日野部屋に入門。同年3月場所に幕下付出で初土俵を踏みました。同期には、大学時代の同級生である花ノ藤（後の十両）や、豊ノ海、鬼雷砲（いずれも後の前頭）がいました。

現役時代の活躍

入門後は順調に出世を重ね、1982年1月場所に十両昇進、1983年9月場所には入幕を果たしました。

幕内では、突き押しを主体とした相撲で活躍。立合いの突進力は強烈で、横綱・隆の里を土俵に這わせる場面もありました。1986年9月場所では、この場所14勝1敗で優勝した横綱・千代の富士を押し出しで破り、唯一の土をつけたことで話題を呼びました。

1987年11月場所で10勝5敗の好成績を挙げ、翌1988年1月場所には悲願の関脇昇進を果たします。しかし、関脇在位は1場所にとどまり、その後は三役から遠ざかりました。

1992年5月場所、東十両9枚目の地位で4勝8敗と負け越しが決まった12日目に現役引退を表明。その後、年寄・入間川を襲名し、春日野部屋付き親方として後輩の指導にあたりました。

引退後と入間川部屋創設

1993年1月、春日野部屋から独立し、入間川部屋を創設。前頭・皇司や燁司など、数々の力士を育てました。長男の後藤良太も、かつて埼玉栄高校相撲部で活躍していました。

栃司は、同じ関脇を最高位とする寺尾には全く勝てませんでしたが、大関・若嶋津には強く、得意にしていました。また、大関・横綱時代の大乃国や、大関時代の小錦にも健闘しました。

1991年3月場所では、西十両筆頭で9勝6敗と勝ち越しながらも、再入幕が見送られるという珍しい事がありました。これは、幕内下位で負け越したのは1人だけであったことと、東十両筆頭にいた両国が同じ9勝6敗で、両国が優先されたためです。しかし、同年9月場所で10勝5敗と勝ち越し、翌場所で返り入幕を果たしました。この時、花道でガッツポーズをする姿が、NHKの大相撲中継で放送されました。

入間川部屋の名古屋場所における宿舎は、名古屋市中川区にある実家の敷地を利用しており、稽古場はその隣にありました。日本大学相撲部の後輩にあたる皇司、燁司の他、磋牙司、将司ら4人を幕内力士に育て上げ、協会では審判委員を務めるなどしていました。

しかし、2011年には弟子の幕内・将司、幕下・恵那司が大相撲八百長問題に関与していた責任を取り、委員から主任へ降格処分を受けました。2012年4月に委員に復帰し、2018年5月現在は役員以外の親方衆で構成される年寄会の会長を務めていました。

2020年7月場所中、娘の職場で新型コロナウイルスの陽性者が出たことを受け、抗原検査を受けましたが、陰性でした。

2022年3月30日には、役員待遇委員に任命され、2023年4月の自身の停年を前に、同年2月1日付で部屋付きの17代雷（元小結・垣添）と師匠を交代し、名称を雷部屋に変更。同部屋付きの親方となりました。

2023年5月場所中の停年会見では、思い出の取組として1984年7月場所10日目の隆の里から金星を獲得した一番を挙げています。停年後は再雇用制度を利用しています。

主な戦績

• - 通算成績：465勝448敗25休 勝率.509
• - 幕内成績：206勝249敗25休 勝率.453
• - 現役在位：68場所
• - 幕内在位：32場所
• - 三役在位：4場所（関脇1場所、小結3場所）
• - 三賞：2回（敢闘賞1回、技能賞1回）
• - 金星：3個（隆の里、千代の富士、北勝海）
• - 十両優勝：2回（1989年1月場所、同年7月場所）

年寄変遷

• - 入間川 哲雄（1992年5月-）

栃司哲史は、その豪快な突き押し相撲と、後進の指導に尽力した功績により、多くの相撲ファンから愛されています。

もう一度検索