栃富士勝健

栃富士勝健（とちふじ かつたけ）

栃富士勝健は、1946年6月8日に生まれ、2003年4月28日に亡くなった元大[[相撲]]力士です。本名は小暮晴男といい、埼玉県大里郡三尻村（現在の熊谷市）出身ですが、出生地は東京都渋谷区です。春日野部屋に所属し、最高位は東前頭3枚目でした。身長186cm、体重141kgという恵まれた体格で、左四つからの寄りを得意としていました。

生涯

1961年、渋谷区立上原中学校在学中に春日野部屋に入門し、14歳で初土俵を踏みました。当時、小兵力士が多かった春日野部屋では珍しい大型力士として、早くから注目を集めました。幕下までは順調に昇進しましたが、ここで苦労を経験します。1967年3月場所では東幕下筆頭で6勝1敗という好成績を挙げながらも、場所後の番付枚数削減の影響で、翌5月場所では東幕下3枚目に降下しました。しかし、その状況に腐ることなく7戦全勝で幕下優勝を果たし、7月場所で新十両昇進を果たしました。

1968年9月場所では新入幕を果たしましたが、6勝9敗と負け越し、1場所で十両に陥落。しかし、翌年1月場所で再入幕を果たすと11勝4敗の好成績を挙げ、幕内上位に進出しました。続く3月場所では9日目に横綱・柏戸をうっちゃりで破り、初の横綱戦で金星を獲得しました。しかし、同年9月場所では再び十両に陥落。1971年1月場所に再々入幕し、5月場所では自己最高位となる東前頭3枚目に進出しました。

この5月場所では、初日に横綱・大鵬と対戦。大鵬の突き押しを凌いで押し返すと、大鵬は尻餅をつき、柏戸、大鵬両横綱から金星を獲得するという記録を作りました。大鵬はこの場所5日目に貴ノ花に敗れた後、引退を表明しましたが、尻から落ちるという負け方を下位力士相手に2度も喫したことで限界を実感したとされ、栃富士戦での敗戦も引退の要因の一つとされています。柏鵬の両横綱と幕内で対戦して無敗の力士は、栃富士と彼の師匠である栃錦のみです。また、大鵬が幕内で対戦した全ての力士の中で、一度も勝てなかったのは、栃富士、栃錦、福田山幸雄、錦洋の4人だけです。

栃富士は、貴ノ花や輪島が十両から平幕の頃から苦手としており、貴ノ花には4勝3敗、輪島には4勝1敗の成績を残しています。しかし、彼らが三役に昇進した時期には対戦する機会がありませんでした。

左を差しての一気の寄りに威力があり、時に横綱や人気力士を倒すことがあったため、「スター・キラー」という異名も持ちました。しかし、取り口にムラがあり、鋭い切れ技も持ち合わせていなかったため、その体力を持て余してしまうこともありました。その後は幕内と十両を往復する力士として活躍しました。

1974年9月場所後、28歳で引退。引退後は年寄・山分を襲名し、春日野部屋付きの親方となりました。1990年1月に師匠である春日野（元横綱・栃錦）が亡くなった後は、兄弟子だった元関脇・栃東の玉ノ井親方の独立に同行。以降は玉ノ井部屋で師匠の右腕として後進の指導にあたりました。日本[[相撲協会]]では木戸委員、指導普及部委員を務めました。

2000年頃から体の不調を訴えるようになり、2003年4月28日、急性心筋梗塞のため56歳で死去しました。亡くなった日は、来客のために自宅の台所でちゃんこを準備している際に倒れたと伝えられています。

主な成績・記録

通算成績：465勝445敗18休 勝率.511
幕内成績：64勝101敗 勝率.388
現役在位：80場所
幕内在位：11場所
金星：2個（柏戸1個、大鵬1個）

各段優勝

十両優勝：2回（1968年3月場所、1972年9月場所）
幕下優勝：1回（1967年5月場所）

改名歴

小暮 晴男（こぐれ はるお） 1961年7月場所 - 1963年5月場所
栃ノ富士 晴男（とちのふじ -） 1963年7月場所 - 1966年1月場所
小暮 晴男（こぐれ -） 1966年3月場所 - 同年9月場所
栃ノ富士 晴男（とちのふじ -） 1966年11月場所 - 1967年1月場所
栃富士 勝健（とちふじ かつたけ） 1967年3月場所 - 1974年9月場所（引退）

年寄変遷

山分（やまわけ） 1974年9月 - 2003年4月（死去）

関連項目

大[[相撲]]力士一覧

参考文献

* 『戦後新入幕力士物語 第3巻』（著者：佐竹義惇、発行元：ベースボール・マガジン社、1991年）p191-p195

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