栗山和樹

栗山 和樹

日本の作曲家であり編曲家である栗山和樹氏（1963年3月13日生まれ）は、兵庫県神戸市兵庫区の出身です。クラシックからジャズ、現代音楽、コンピュータ音楽に至るまで幅広い素養を持ち、特に映像音楽の分野を中心に多岐にわたる活動を展開しています。

音楽への道のりと学び

栗山氏は4歳でピアノに触れ、早くから映画音楽の作曲家になることを志しました。12歳でトロンボーンを始め、15歳の時には自身のジャズオーケストラグループを結成し、自らアレンジを手がけるなど、若くして作曲・編曲の才能を発揮しました。兵庫県立兵庫高等学校を経て、国立音楽大学作曲科で専門的な学びを深め、さらに同大学院音楽研究科作曲理論専攻を修了しています。その後、アメリカへ渡り、スタンフォード大学内のCCRMA（Center for Computer Research in Music and Acoustics、コンピュータによる音楽・音響研究所）に留学。最先端のシンセサイザーやコンピューター・プログラミング技術を習得し、その後の創作活動に大きく活かされています。

国際的な評価

留学中に培った知見は、栗山氏の作品に新たな広がりをもたらしました。1992年には、サンノゼで開催された国際コンピュータ音楽会議に、コンピュータと日本の伝統楽器である尺八を用いた作品「コンピュータと尺八のための〈2つの古い民謡〉」を出品し、入選を果たしました。さらに1995年には、タイのバンコクで開催されたアジア作曲家連盟総会・音楽祭において、彼の「デュアル・フレーズ―2つの弦楽四重奏のために」が青年作曲賞で第2位を獲得するなど、国際的な舞台でもその実力が高く評価されています。

主要な作品活動

栗山氏の創作活動は非常に多岐にわたりますが、中でもテレビドラマ、映画、CMなどの映像音楽の分野で数多くの代表作を生み出しています。彼の音楽は、時代劇から現代劇、サスペンス、コメディまで、作品の世界観を見事に表現し、視聴者や観客の感情に深く寄り添うことで知られています。

テレビドラマ

NHKでは、大河ドラマ「北条時宗」（2001年）をはじめ、「シェエラザード〜海底に眠る永遠の愛〜」（2004年）、連続テレビ小説「芋たこなんきん」（2006年）、BS時代劇「子連れ信兵衛」シリーズ（2015年、2016年）など、重要な作品の音楽を多数担当しています。特に「北条時宗」の紀行パートで使用された楽曲「蒼風」は、ジャズの要素を取り入れた斬新なスタイルと、ピアニスト山下洋輔氏の演奏が見事に調和し、大きな話題となりました。また、ドラマ館「日輪の翼」「結婚ラプソディ 結婚狂騒曲」、ドラマ新銀河「素敵に女ざかり」、土曜ドラマ「トップセールス」なども手がけています。民放各局でも幅広く活動しており、日本テレビ系「熱い絹」（1998年）、TBS系「女系家族」「汚れた舌」「年下の男」「ピュア・ラブ」シリーズ、「to Heart 〜恋して死にたい〜」、テレビ朝日系「八丁堀の七人」「新選組血風録」（1998年版）、「天と地と」、テレビ東京系「天下騒乱〜徳川三代の陰謀」「永遠の0」（2015年）など、数多くの人気ドラマ、時代劇、特別企画の音楽を担当しています。

映画

劇場公開作品においても、東映「極道の妻たち・決着」、松竹「陽炎3」「陽炎4」、にっかつ「カッパの三平」「星空のバイオリン」、「ホームカミング」、「多十郎殉愛記」、「時代劇は死なず ちゃんばら美学考」など、多様なジャンルの音楽を提供しています。今村プロダクション製作の「カンゾー先生」では編曲を手がけました。

CM・その他

企業のコマーシャル音楽では、JR東日本グループ「HARMONY」、日本通運「引越しパック」、ユニ・チャーム「クック・アップ」などを制作。さらに、ゲームソフト「三國志IX」（コーエー）の音楽や、NHK「芸術劇場」のタイトル音楽、NHK「名曲アルバム」での編曲、TBS「ベストタイム」、JNNニュースバードのタイトル音楽、NHK「土曜ソリトン SIDE-B」内の「ミュージック・ワークショップPART1」音楽プロデュースなど、幅広いメディアでその音楽が使用されています。また、オリンピック賛歌の制作にも関わっています。

教育・社会貢献

栗山氏は、作曲・編曲家としての活動と並行して、後進の育成にも力を入れています。母校である国立音楽大学で教授として、また洗足学園音楽大学では客員教授として教鞭を執り、若い世代に自身の持つ知識や経験を伝えています。さらに、日本の音楽業界における重要な役割として、JASRAC（日本音楽著作権協会）の編曲審査委員会委員を務め、音楽文化の発展や著作権制度にも貢献しています。

栗山和樹氏は、その多様な音楽的バックグラウンドと探求心、そして教育者・業界人としての視点を通じて、日本の音楽シーンにおいて多大な影響を与え続けている存在です。

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