株 (歴史学)

株（かぶ）とは？

株とは、特定の団体に参加する資格や社会的な地位、役職、営業上の権益が物権化し、売買や譲渡が可能になる制度を指します。この制度は、日本の歴史において重要な役割を果たしてきました。

株の起源と歴史

「株」という言葉は、もともと植物の「株」に由来し、上に向かって枝分かれし、下に向かって根が広がることを意味します。この概念が中世の日本で発展し、物権化されたのです。日本の経済制度の変化に伴い、特に江戸時代からこの用語が広く使われるようになりました。

株には、例えば「株札」などが発行され、組織全体を把握するための「株帳」が用いられていました。江戸時代には、特に商人や職人たちが仲間を作り、その中で営業の固定化や独占化を図るために「株仲間」が形成されました。これらの株仲間は、過度な競争を抑え、経営の安定化を図るために存在していました。

株仲間の構造

株仲間は「願株」と「御免株」に分かれ、前者は商人や職人が自発的に形成した組織が公認されたもので、後者は公権力によって組織化されたものです。また、株仲間の中には「古株」と「新株」といった区分があり、株の取り扱いについて細かい規定が存在しました。

農村における株

農村でも株の概念が重要な役割を果たしていました。検地によって村落の構成員が確定した後、共同作業や年貢・諸役の負担などの管理をするために「百姓株」や「屋敷株」が存在しました。これにより、村落の共同体を維持する手段が確保され、また別の形での権益の主張が可能となったのです。

江戸時代から明治時代への移行

明治時代になると西洋から株式会社の制度が導入され、「株」という用語は有価証券としての意味も持つようになりました。特に、1878年の東京株式取引所と大阪株式取引所の設立が重要であり、株の概念が社会に定着し始めました。しかし、当時の日本では、従来の「株」は特定の権利が客体化されたものであり、今までの株とは異なり、新しい株は法律によって権利や義務が結びつけられるようになりました。

現代における株の変遷

今日では、江戸時代の「株」の概念は徐々に姿を消しましたが、日本相撲協会の年寄名跡、所謂「親方株」は、江戸時代の制度を引き続き残す数少ない形態と言えるでしょう。このように、株は日本の経済や社会の変化に寄与し続けてきた重要な制度です。株の概念は、単なる経済的な取引にとどまらず、社会的な階層や役割、身分の移動とも深く関わっているため、その理解は日本の歴史や文化を読み解く上で欠かせない要素となります。

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