根本説一切有部律

根本説一切有部律（Mūlasarvāstivāda vinaya）

根本説一切有部律（こんぽんせついっさいうぶりつ）は、仏教の一派である上座部系に属する律典で、その名が示す通り、根本説一切有部という部派に基づいています。この部派は、後に成立したことが確認されていますが、説一切有部との関係性や詳細については未だに明らかにされていない部分が多いです。

この律典は、漢訳において比丘の戒律を249条含み、義浄の訳による『根本説一切有部毘奈耶』は全50巻にも及ぶ大規模な文献です。さらには、この律文献には数多くの仏教に関する説話が収録されており、仏教徒にとって重要な教えの源泉となっています。

根本説一切有部律は、上座部仏教で知られる南伝仏教のパーリ語経典にあたる『パーリ律』、中国の仏教に伝わる『四分律』『五分律』『十誦律』『摩訶僧祇律』など、いわゆる「四大広律」と呼ばれる律典と並び、仏教の律に関する重要な文書の一つです。これらは現存する6つの律の中に位置づけられており、特にチベット仏教や高野山真言宗においてもその教えが受け継がれ、利用されています。

また、根本説一切有部律はチベット大蔵経に収録されており、漢訳の大蔵経にも義浄訳の関連典籍が収められています。具体的には、大正新脩大蔵経の中で1442番から1459番にわたり律部として取り扱われています。加えて、唐招提寺に保管されている『根本説一切有部戒経』は、日本の国の重要文化財に指定されていることからも、その歴史的・文化的な価値が認められていることが伺えます。

この律典は、戒律、具足戒、また僧伽といった重要な仏教の概念とも密接に関連しており、仏教の教義を学ぶ上で欠かせない資料となっています。特に、仏教における修行の在り方や僧侶としての行動規範を定める重要な役割を果たしています。

根本説一切有部律を通じて、仏教徒はその信仰を深め、精神的な成長を図ることができるでしょう。この文献は、仏教のコミュニティだけでなく、一般の人々にとっても理解を深める手助けとなる貴重な存在です。

もう一度検索