貞観格

貞観格（じょうがんきゃく）

貞観格は、平安時代の貞観11年（869年）に施行された格式（律令の施行細則）です。全12巻で構成され、律令政治における重要な法令集の一つです。編纂は藤原良相が勅命を受けて開始し、彼の死後は藤原氏宗が中心となって完成させました。

編纂の背景

貞観格は、弘仁11年（820年）から貞観10年（868年）までの49年間に発布された詔勅や太政官符の中から、当時実際に効力を持っていた重要なものを取捨選択し、各省ごとに整理・配列したものです。先行する「弘仁格」を継承し、その後の法令運用に大きな影響を与えました。

編纂の特徴

編纂にあたっては、以下の点が重視されました。

弘仁格との重複排除: 既に弘仁格に掲載されている法令は収録しませんでした。
廃止法令の排除: 編纂当時に既に廃止されていた法令は掲載しませんでした。
修正: 一部の使われていない部分や、修飾のための文言（「繁麗之文」）は削除されました。

これらの措置により、貞観格はより実用的で簡潔な法令集となっています。

構成

貞観格は全12巻から成り、各巻は以下のような内容です。

巻一: 神祇官、中務省
巻二・巻三・巻四: 式部省
巻五・巻六: 治部省
巻七・巻八: 民部省
巻九: 兵部省、刑部省、大蔵省、宮内省、弾正台、京職
巻十: 雑格（その他の法令）
巻十一・巻十二: 臨時格（追加の法令）

最後の2巻は、唐の『開元留司格』に倣い、臨時の法令類を「臨時格」として収録しています。これにより、より広範な法令を網羅しています。

原文の現状

残念ながら、貞観格の原文は現存していません。しかし、『類聚三代格』や惟宗允亮の『政事要略』などの文献に多くが引用されており、その内容をある程度知ることができます。

貞観格の重要性

貞観格は、平安時代の律令政治における重要な法令集であり、当時の政治や社会制度を理解する上で欠かせない資料です。その編纂過程や内容からは、当時の法令運用や政治状況を知る手がかりが得られます。

関連事項

三代[[格式]]
貞観式

もう一度検索