桐生川ダム

桐生川ダム：治水と恵みを両立する多目的ダム

桐生川ダムは、群馬県桐生市梅田町に位置する、利根川水系桐生川の上流に建設された重力式コンクリートダムです。ダムによって形成された人造湖は梅田湖と呼ばれ、地域住民の生活を支えるとともに、観光やレクリエーションの場としても活用されています。

ダムの概要

桐生川ダムは、堤高60.5mの重力式コンクリートダムであり、洪水調節、上水道の安定供給、発電を目的とした多目的ダムとして建設されました。利根川水系渡良瀬川の左支流である桐生川の治水対策として重要な役割を担っています。

ダムへのアクセスは、桐生駅北口からおりひめバス梅田線で約25分、最寄りのバス停は軍場です。ダム管理事務所もこの近くにあります。ダムと梅田湖周辺には、梅田大橋、台緑地公園入口などのバス停があり、気軽に訪れることができます。

建設の背景と沿革

桐生市は、渡良瀬川と桐生川に挟まれた地形から、過去に度重なる水害に悩まされてきました。特に、昭和初期には1938年、1947年、1948年、1949年と、立て続けに大きな水害が発生し、市民生活に深刻な影響を与えました。このため、桐生川上流へのダム建設が計画され、1968年に予備調査が開始されました。

1972年には実施計画調査が始まり、1974年に着工、約9年の歳月をかけて1983年3月に竣工しました。1984年6月には桐生川発電所の運転が開始されています。ダム建設に伴い、59戸の家屋が移転し、根本山神社、碧雲寺などの歴史的な建物も下流に移築されました。また、旧入飛駒小学校や、根本橋、旧大州橋、落合橋などが水没しています。

興味深いのは、桐生川が古代から両毛国境として、明治以降は群馬・栃木両県境として、行政区画を分けていたことです。しかし、予備調査が開始された1968年に、桐生川左岸の栃木県安蘇郡田沼町入飛駒地区が群馬県桐生市に編入されたことで、桐生川両岸が同一の行政区画となりました。

梅田湖：水と緑が織りなす憩いの空間

ダム湖は1985年に公募により「梅田湖」と命名されました。梅田湖の中央には、群馬県道66号桐生田沼線の梅田大橋が架かり、右岸の二渡地区と左岸の入飛駒地区を結んでいます。

梅田湖の右岸には群馬県道337号上藤生大洲線が走り、沿道には梅田台緑地公園とロウバイパークがあります。湖畔にはボート乗り場があり、釣りを楽しむこともできます。春夏のニジマスやブラックバス、秋冬のワカサギ釣りは特に人気です。

梅田湖上流の桐生川源流部には、桐生市青少年野外活動センターと梅田ふるさとセンターがあり、桐生市北部に広がる水源の森百選の桐生川源流林や根本山観光の拠点となっています。

脚注

ダム建設により移転を余儀なくされた人々や、水没した地域の歴史を忘れないようにしたい。
梅田湖は、釣りやボート遊びだけでなく、周辺の自然散策も楽しめる。

参考文献

『ふるさと今昔 桐生』（あかぎ出版、1986年）
『ふるさと桐生のあゆみ』（桐生市教育委員会、1998年）

関連項目

日本のダム
日本のダム一覧
日本の重力式ダム一覧
日本の多目的ダム一覧
日本の人造湖一覧
関東地方のダム一覧
都道府県営ダム

外部リンク

県営ダム一覧 - 群馬県庁 県土整備部 河川課
* 桐生川ダム - ダム便覧（日本ダム協会）

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