桜ヶ池 (南砺市)

桜ヶ池：富山県南砺市の美しい人造湖

桜ヶ池は、富山県南砺市立野原東に位置する周囲約3キロメートルの人造湖です。面積17ヘクタール、総貯水量145万立方メートルを誇り、南砺市の農地約800ヘクタールの灌漑を支える重要な役割を果たしています。東海北陸自動車道桜ヶ池ハイウェイオアシスに隣接し、砺波平野を一望できる高台に位置しています。水源は袴腰山の水源涵養林から砺波ダムを経由して導水されています。

歴史

かつて、旧城端町南西部の地域では、小矢部川水系山田川の水を灌漑に利用していましたが、流量が少なく慢性的な水不足に悩まされていました。旱魃のたびに水争いが絶えなかったと言います。そこで、1935年頃に山田川沿岸耕地整理組合長の井口仁志氏を中心に、山田川に堰堤を築きダム湖を造る「山田川沿岸水利補給事業」が計画されました。しかし、当時の技術では実現が難しく、実現には至りませんでした。

その後、立野ヶ原演習地（旧日本陸軍第9師団野砲演習場）にため池を作る計画が持ち上がり、陸軍や県への陳情の結果、1941年7月に着工、1954年に桜ヶ池が完成しました。

立野ヶ原演習地は、江戸時代には加賀藩の鷹狩場があった場所です。桜ヶ池の湖底や周辺の台地にはかつて西原村がありましたが、1900年と1920年の陸軍実弾演習のための用地買収に伴い、上原へ移転しました。また、この地からは富山県下最大の後期旧石器時代の遺跡群である立野原遺跡群が発見されており、「立野原型ナイフ」などの特徴的な遺物が出土しています。

西原村には、壇ノ浦の合戦から逃れてきた平家の落人、小西源右ヱ門が洞穴に隠れ住み、住民に助けられたという伝承が残っています。小西の子孫は1900年の用地買収の際に京都へ移住しました。

桜ヶ池公園

戦後、桜ヶ池の湖畔には800本の桜と400株のツツジが植栽され、公募によって「桜ヶ池」と名付けられました。「富山県南砺市桜ヶ池公園（自遊の森）」として整備された公園は、地域住民の憩いの場として親しまれています。

公園内には、コテージ、野外バーベキュー場、バーベキューハウス「自由自遊家-ジュウジュウハウス」、公共浴場など、様々な施設があります。周辺には里山特有の生物が数多く生息しており、地元の小学校では絶滅危惧種のギフチョウの育成と池周辺での放蝶が行われています。

近年の動向

近年では、公園内の施設のリニューアルや新たなアクティビティの導入が進められています。2021年には「自由の森」が「ガラパゴスキャンピングパーク〜桜ヶ池自由の森〜」としてリニューアルオープンし、2022年にはコテージ棟にフィンランド式屋外サウナが設置されました。また、2023年にはゴールドウィンによる自然体験施設「GOLDWIN PLAY EARTH PARK」の事業構想が発表され、さらなる魅力向上が期待されています。

しかし、施設の老朽化のため、2024年6月3日から2027年頃まで休園期間に入ることが発表されています。

アクセス

道路: 東海北陸自動車道城端サービスエリア
公共交通機関:
城端線城端駅より南砺市営バス（なんバス）城端さくら線に乗車、「桜ヶ池公園」停留所または「桜ヶ池クアガーデン」停留所下車
城端線城端駅またはじょうはな座前バス停より南砺市営バス（なんバス）城端西回り線に乗車、「桜ヶ池クアガーデン」停留所下車

桜ヶ池は、農業用水源としてだけでなく、自然とレクリエーションを楽しめる場として、地域の人々に愛されています。休園期間を経て、さらに魅力的な公園として生まれ変わることが期待されます。

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