梶山俊夫

梶山俊夫（1935年7月24日 - 2015年6月16日）は、日本の絵本作家であり、抽象画家としても知られています。本名は梶山俊男。彼は絵本制作にとどまらず、木版画、陶作品、ガラス絵など、多様な表現方法で作品を創作しました。また、国内外を旅することで得たインスピレーションを作品に反映させる、旅する画家でもありました。

東京の亀戸で生まれた梶山は、幼少期を戦時下の疎開先である常陸太田で過ごしました。成城中学校・高等学校を経て、画家を志し武蔵野美術大学に入学。しかし、演劇部での活動を巡る衝突から大学を退学し、その後日本大学芸術学部に再入学しました。在学中から日本宣伝美術会（日宣美）などで活動し、読売アンデパンダン展にも出品するなど、その才能を早くから開花させました。

1962年には、抽象画でシェル美術賞を受賞し、ヨーロッパへ1年間滞在。パリでは、著名な画家である藤田嗣治との出会いを果たします。帰国後は、日本の廃寺跡などを巡る旅を続け、自身の作品に日本の伝統や文化を取り入れていきました。1961年からは市川市に居を構え、創作活動に励みました。

絵本作家としての転機は、1967年に木島始の依頼で鳥獣戯画を素材とした『かえるのごほうび』のレイアウトを手がけたことでした。この時、鳥獣戯画絵巻の実物に触れたことが大きな感銘となり、福音館書店の松居直に絵本制作を勧められるきっかけとなりました。博報堂時代の知己であった天野祐吉の文に挿絵を描いた『くじらのだいすけ』を1967年に発表し、1972年には自ら文章も手掛けた『うまおいどり』を出版しました。

1973年には、『かぜのおまつり』でBIB（ブラチスラヴァ絵本原画展）金のりんご賞を受賞し、国際的にも高い評価を得ました。その後も、『いちにちにへんとおるバス』で講談社出版文化賞、『あほろくの川だいこ』で小学館絵画賞、『こんこんさまにさしあげそうろう』で絵本にっぽん大賞など、数々の賞を受賞しています。1998年には、市川市民文化賞・奨励賞を受賞しました。

主な作品には、『かえるのごほうび』、『くじらのだいすけ』、『うまおいどり』、『かぜのおまつり』などがあります。これらの作品は、子供たちの心を捉え、世代を超えて読み継がれています。

梶山俊夫は、2015年6月16日に肺炎のため79歳で亡くなりましたが、彼の作品は今もなお、多くの人々に愛され続けています。彼の独特な世界観と、子供たちへの温かい眼差しは、これからも多くの人々の心に響き続けることでしょう。

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