棟貞王

棟貞王（むねさだおう）

棟貞王は、平安時代初期から前期にかけて生きた皇族であり、生没年は明らかになっていません。大宰帥であった葛井親王を父に持ち、官位は従四位上、武蔵権守にまで昇りました。

経歴

棟貞王は、文徳天皇の時代、斉衡3年（856年）に二世王としての恩恵を受け、無位から従四位下に叙せられました。その後しばらくは散位として過ごしますが、清和天皇の治世に入ると、貞観6年（864年）に下野守、貞観7年（865年）には越中守と、地方官を歴任し、着実にキャリアを重ねます。貞観8年（866年）には、従四位上に昇叙されました。

その後、棟貞王は京に戻り、中務大輔に任じられます。貞観12年（870年）には次侍従となり、清和朝の後半は京官として朝廷に仕えました。貞観11年（869年）には、後の陽成天皇となる貞明親王の立太子を告げる使者として、春宮大夫・南淵年名と共に、深草山陵（仁明天皇陵）と田邑山陵（文徳天皇陵）へ派遣されるという重要な役割も担っています。

貞観18年（876年）には、皇族としては初めて神祇伯に任ぜられました。一時期、山城守を務めた期間を挟みながらも、陽成朝から光孝朝にかけて長く神祇伯を務め、神祇祭祀を統括しました。

光孝朝末の仁和3年（887年）には、武蔵権守として再び地方官に転じています。

官歴

斉衡3年（856年）正月7日：従四位下（直叙）
貞観6年（864年）正月16日：下野守
貞観7年（865年）正月27日：越中守
貞観8年（866年）正月7日：従四位上
時期不詳：中務大輔
貞観12年（870年）12月29日：次侍従
時期不詳：兼因幡権守
貞観18年（876年）正月14日：神祇伯
元慶4年（880年）2月5日：見山城守
元慶7年（883年）7月13日：見神祇伯
仁和3年（887年）5月13日：武蔵権守

系譜

父：葛井親王
母：不詳

子女
女子：清和天皇更衣 - 貞純親王母

参考文献

武田祐吉、佐藤謙三訳『読み下し 日本三代実録』（上下巻）戎光祥出版、2009年
『日本人名大辞典』講談社、2001年

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