森永博志

森永博志：時代を駆け抜けた編集者、作家

森永博志（1950年 - 2025年4月22日）は、編集者、作家として日本の雑誌界に大きな足跡を残しました。75歳で生涯を閉じるまで、数々の雑誌や書籍の編集に携わり、独自の視点と才能で多くの読者を魅了しました。

編集者としての功績

森永氏は、創刊当時の『POPEYE』、『月刊PLAYBOY』、『BRUTUS』といった人気雑誌で、数々の特集記事を担当しました。彼の編集手腕は、これらの雑誌の個性と魅力を際立たせる上で重要な役割を果たしました。また、『南海の秘宝』、『小説王』、山川惣治『バーバリアン』、上村一夫『菊坂ホテル』、吉田カツ『ラウンド・ミッドナイト』、布袋寅泰CDブック『よい夢を、おやすみ。』など、ジャンルを超えた多岐にわたる作品を手がけました。

作家としての才能

編集者として活躍する傍ら、森永氏は作家としても才能を発揮しました。『原宿ゴールドラッシュ』や『ドロップアウトのえらいひと』などの著書は、彼の独特な世界観と社会に対する鋭い洞察力を反映しており、多くの読者の共感を呼びました。

生い立ちと経歴

1950年、東京都国立市に生まれた森永氏は、幼少期から豊かな文化に囲まれて育ちました。父親は国鉄で新幹線開発に携わるエンジニア、曾祖父は日本郵船の船長という家系に育ちました。1967年に田名網敬一の作品とローリング・ストーンズの音楽に衝撃を受け、高校を中退後、様々な職業を経験しながら、19歳で渋谷区南平台町のコミューン「アップルハウス」に参加。その後、小暮徹に誘われ『ROCK VOICE』紙の編集を手掛けたり、広告制作会社「アド・センター」で働くなど、多様な経験を積みました。1975年頃から本格的な編集生活に入り、八曜社やフォーライフ・レコードで数々の写真集や雑誌の編集に携わりました。27歳でNHK FM『サウンド・ストリート』のパーソナリティを務めるなど、その活動は多岐にわたりました。

『小説王』創刊と新たな才能の発掘

『BRUTUS』での特集記事の編集後、角川書店から声がかかり『スネークマンショー 核シェルターブック』の編集に携わり、その成功を受けて後藤繁雄を誘い文芸誌『小説王』を創刊。荒俣宏を『帝都物語』で小説家デビューさせ、上村一夫の作品を掲載するなど、新たな才能の発掘にも尽力しました。

晩年

晩年は絵画制作にも取り組み、個展を開催するなど、新たな才能を開花させました。
2025年4月22日、横浜市中区伊勢佐木町の自宅で心不全のため逝去。75歳でした。

人柄

森永氏は、愛称「マッケンジー」として親しまれ、多くの人々から愛されました。生涯独身であり、自由な精神と独自の価値観を大切にしました。その生き方は、多くの人々に影響を与え、今もなお語り継がれています。

家族

甥の森永邦彦はデザイナーとしてアパレルブランド「ANREALAGE」を代表を務めています。

著書一覧

原宿ゴールドラッシュ : 宝が埋まっている街 青雲篇（ワニブックス、1985年）
Popular（講談社、1985年）※吉田カツ：著、森永博志：責任編集
ゴールドラッシュ（ワニブックス、1990年）
よい夢を、おやすみ。（八曜社、1993年）※布袋寅泰、ハービー山口との共著。「マッケンジー森永」名義
ドロップアウトのえらいひと（東京書籍、1995年）
シャングリラの予言（講談社、1995年）※立川直樹との共著
六弦の騎士（東京書籍、1995年）※布袋寅泰との共著
地球の星屑（ぶんか社、1998年）
「快楽」都市遊泳術 : クラブシャングリラの予言（講談社、1998年（講談社+α文庫）※立川直樹との共著
やるだけやっちまえ! : Gold rush 1969-1999（リトル・モア、1999年）
ドラゴンヒート : 竜火は燃えつづける火（リトル・モア、1999年）※監修・テキスト
シャングリラの予言 続（東京書籍、2002年）※立川直樹との共著
原宿ゴールドラッシュ : 宝が埋まっている街 青雲篇（CDC、2004年（エンジェルワークス）
アイランド・トリップ・ノート : 島を愛する自由人たちへ（A-Works、2004年）
レッドシューズの逆襲（主婦と生活社、2004年）※門野久志との共同監修
ドロップアウトのえらいひと 続（東京書籍、2005年）
北京（東京書籍、2008年）※森永博志：著、李長鎖：写真
初めての中国人（マーブルトロン、2008年（Marble books）
One plus one（A-Works、2009年）
幻覚より奇なり（リトルモア、2010年）※田名網敬一との共著
ドロップアウトのえらいひと～島に渡る～（SDP、2011年）
自由でいるための仕事術（本の雑誌社、2012年）
あの路地をうろついているときに夢見たことは、ほぼ叶えている（パルコエンタテインメント事業部、2015年）
ジョニー大倉ラストシャウト! : ロックンロールの神様に愛された、ひとりの少年の物語（KADOKAWA、2015年）

森永博志氏の功績は、日本の雑誌文化、編集文化に深く刻まれています。彼の作品は、これからも多くの人々に読み継がれ、影響を与え続けるでしょう。

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