楊庶堪

楊庶堪（よう しょかん）

楊庶堪（1881年12月9日 - 1942年8月6日）は、中国同盟会以来の革命派人士であり、中華民国の政治家として活躍しました。彼は民国期を通して孫文を支持し、中国国民党にも加入しました。名は先達ですが、号の庶堪で広く知られています。字は品璋、滄白、晩号は邠齋です。

生涯

四川革命派の指導者として

楊庶堪は商人の家庭に生まれました。1900年、重慶で県試を受け、首席の秀才となります。しかし、清朝の腐敗に失望し、新学の習得を目指しました。重慶で英語を学びながら、同郷の鄒容と親交を深め、翌年には成田安輝、井戸川辰三から日本語を学びました。1902年春には重慶府中学堂の英語教員として採用され、公強会などの秘密組織を結成し、革命や富国強兵の思想を広めました。

1905年8月、中国同盟会が設立されると、楊庶堪もこれに加入し、重慶分部の責任者となりました。以後、四川方面での革命派指導者として、革命思想の宣伝や武装蜂起に尽力しました。

辛亥革命と民初の活動

1911年10月に武昌起義が勃発し、辛亥革命が始まると、楊庶堪は張培爵と共に武装蜂起し、11月22日に重慶府を攻略、革命派の蜀軍政府を成立させました。張培爵を都督に推薦し、自身は顧問となりました。中華民国成立後、蜀軍政府は成都の四川軍政府と合流し、楊庶堪は四川軍政府の外交部長に任命されました。

1913年、二次革命が勃発すると、熊克武から四川民政部長に任命されますが、熊克武らが敗北し、日本へ亡命。黄興が組織した欧事研究会に加わり、翌年、孫文が中華革命党を組織すると、これに転じて政治部副部長に任命されました。1915年には上海で陳其美らの蜂起に加わりますが、失敗に終わります。その後、南洋で革命派のための資金収集に奔走しました。

1918年3月、熊克武が四川督軍となると、四川省議会の推薦を受けて四川省長に選出され、10月に四川に戻り政務に就きましたが、政学系を支持する熊克武と孫文を支持する楊庶堪との間に対立が生じました。1920年4月、孫文派の川軍指揮官・呂超が反熊戦争を起こすと、楊庶堪もこれを支持しましたが、同年9月に熊克武の反撃に敗れ、呂超と共に下野しました。

国民党の要人として

四川から逃れた楊庶堪は、広州の孫文のもとに戻り、1921年6月に中国国民党本部財政部長に任命されました。1923年2月、陳炯明の兵変後、大元帥府秘書長に任命され、同年冬には党臨時中央執行委員に選出されました。翌年1月の第1回全国代表大会では、四川省代表兼中央監察委員に選出され、同年3月には広東省省長に任命され、同省の改革に着手しましたが、蔣介石・戴季陶との政争に敗れ、わずか3か月で辞職しました。

同年11月、臨時執政段祺瑞の下で、孫文派の一員として農商総長に任命されましたが、実際には就任しませんでした。孫文の死後、1925年8月に司法総長に任じられましたが、列強外交団対処費が拠出されないなど、内閣で冷遇されたこともあり、同年12月に辞任しました。その後は南京に戻り、国民政府委員や国民党中央監察委員などを務めましたが、1933年に蔣介石への不信感から政界を引退し、上海に隠居しました。

晩年

日中戦争勃発後も上海に留まりましたが、汪兆銘からの親日政府参加要請を拒否し、友人の助けで重慶へ脱出しました。しかし、重慶でも蔣介石への協力は望まず、隠居生活を続け、1942年8月6日に重慶で病没しました。享年62歳でした。

楊庶堪は、激動の時代を生き抜き、革命運動に身を投じた人物として、その名は歴史に刻まれています。

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