楊恭懿

楊恭懿の生涯と業績

楊恭懿（よう きょうい、1225年 - 1294年）とは、元の時代に活躍した漢人官僚で、主にその博学多才と学問に対する姿勢で知られています。彼の字は元甫であり、京兆府高陵県に生まれました。

学びの道

楊恭懿は金の滅亡期に家族と共に故郷を離れたものの、学業を断念することはありませんでした。17歳の時に帰郷し、貧困により働かねばならなかったものの、隙間を見つけて学問を続けました。この姿勢が後の彼の官僚としての道を拓くことになるのですが、楊恭懿の根底に流れるのは、彼の強い学問への情熱でした。

政界への道

至元7年（1270年）、彼はクビライの側近である許衡から召喚されますが、その際には応じなかったのです。正式な呼び出しは、許衡が左丞相に就任した際に右丞相アントンを通じて行われましたが、再び楊恭懿は病を理由にこれを断りました。彼は独自の考え方と信念を持ち続け、その姿勢を貫いていたのです。それでも、至元11年（1274年）にようやく招聘に応じ、クビライも彼の功績を認め労いの使者を送ることとなります。

科挙改革の提言

至元12年（1275年）には、科挙を復活させる提案があった際、楊恭懿は既存の官僚が詩にこだわりすぎていることを批判しました。彼は実務や論策に優れた人物の任用を進言し、実学を重視する立場から改革を訴えました。しかしその後、シリギの乱の勃発により、朝廷の関心はモンゴル高原方面に移ることとなり、彼は再度故郷へ帰る道を選びます。

新たな暦の作成

至元16年（1279年）、再び中央へ戻ることとなった楊恭懿は太史院にて改暦に関わる仕事を依頼されます。至元17年（1280年）には、郭守敬と共に新たな暦「授時暦」を完成させます。この暦は元の時代末まで使用され、クビライもその功績を高く評価しました。この成功により、集賢学士の地位に任じられることになります。

晩年と最後の選択

しかし、至元18年（1281年）に再び故郷に帰ることを選び、以降もいくつかの役職を offered されましたが、すべてこれを辞退し続けました。楊恭懿はその後も学問を重んじ、自らの信念を貫き通す姿勢を持ち続けました。そして、至元31年（1294年）、彼は70歳を迎えてこの世を去りました。彼の生涯は、学問と信念を貫くことの重要性を示す一例として後人に記憶されています。

参考文献

• - 『元史』巻164列伝51楊恭懿伝
• - 『新元史』巻171列伝68楊恭懿伝
• - 『国朝名臣事略』巻13太史楊文康公
• - 安部健夫『元代史の研究』創文社、1972年

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