楊褒

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楊褒の生涯と業績

楊褒（よう ほう、? - 308年）は、五胡十六国時代の成漢において重要な役割を果たした政治家で、略陽郡に生まれました。彼の生涯は、西晋に仕官したことから始まり、将兵都尉として権威を持ちました。

西晋での仕官と出世

西晋時代に彼は将兵都尉に任命され、元康6年（296年）には李特が略陽や天水を含む六郡の人民を引き連れて益州へ移動すると、楊褒もこれに従いました。永寧元年（301年）には、李特と益州刺史の羅尚との間で流民の扱いに関する対立が生じ、流民達は李特を指導者として支持しました。この時、楊褒は上書を行い、古の梁統が竇融を推戴した例に倣って李特を行鎮北大将軍として推薦しました。その結果、李特は楊褒を自身の側近に任命しました。

直言の士としての姿

晏平元年（306年）6月、李特の子李雄が帝位に就くと、楊褒は左僕射・尚書令という高位に昇進しました。彼は阿諛を嫌い、帝王に対しても遠慮なく意見を述べる直言の士として知られていました。成漢が成立した初期には、李雄が国の発展のために貴族や有力者を遠方から招くことに注力したことが、国財に影響を及ぼすことになりました。この状況を目の当たりにした楊褒は、次のように諫めました。「陛下は天下の主として、四海を治めるべき存在です。どうして官位を金で得る事態が生じているのでしょうか？」この言葉を受けて、李雄は謝罪し、方針を改めることとなりました。

厳しい忠告と果敢な行動

また、ある時には李雄が酒に酔い、中書令に命じて太官令に杖罰を与えた際、楊褒は勇気を持って進み出ました。「天子は慎みをもって諸侯を治めるべき存在であり、どうして酔っている天子がそのようなことを行うのでしょうか？」と問いただしました。この発言に驚いた李雄は、楊褒を自由にしました。さらに別の日、李雄が用事もなく外出した際、楊褒は武器を持って馬を駆り、彼を追い越しました。李雄がその理由を尋ねると、楊褒は「天下を治めるということは、臣が武器を携え悪馬に乗るようなものです。急げば自らを傷つけ、遅れれば機会を逸します。今、御前を通り過ぎたのは、馬をうまく操れなかったからです」と答えました。この言葉に感銘を受けた李雄は、思い直して引き返しました。

最期とその後

晏平3年（308年）12月、楊褒は亡くなりました。彼の功績を称えられ、丞相・太師に追贈され、荘という諡号が与えられました。楊褒の生涯は、当時の政治において直言の重要性を示す象徴的なものであり、彼の行動は後世にも大きな影響を与えました。

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脚注

• - 参考文献: 『晋書』載記第20・21, 『十六国春秋』巻80

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