載記

載記（さいき）とは

載記とは、中国の歴史書における分類の一つで、本紀、列伝、世家、志などと並び称されます。主に、列国の事柄を記録した部分を指す用語として用いられます。

概要

載記という形式が初めて用いられたのは、『東観漢記』においてです。ここでは、新末後漢初の混乱期に各地で割拠した群雄に関する記述を「載記」と呼称しました。

『後漢書』班固伝には、班固が功臣や平林・新市の群雄、公孫述に関する記事を編纂し、「列伝・載記」として28篇を奏上したという記述があります。

『晋書』では、五胡十六国時代の各国の興亡や人物に関する記述に「載記」という名称を使用しています。これにより、正史とは異なる視点から、当時の政治情勢や社会情勢を知ることができます。

梁の阮孝緒は『七録』において、紀伝録の中に「偽史部」を設けました（『広弘明集』による）。また、『隋書』経籍志では、同様の分類を「覇史」と呼んでいます。

清朝の趙翼は『二十二史箚記』の中で、『晋書』における「載記」の用い方について考察しています。彼は、複数の世代にわたり帝位や王位を僭称した者が「世家」ではなく「載記」に収録されていると指摘し、正統な手段で位に就いた者のみが「世家」に収められるという区別を示唆しました。

『四庫全書』もまた、『史部・載記類』という分類を設け、『呉越春秋』をはじめとする、各地に割拠した地方勢力に関する歴史書を収録しています。『四庫全書総目提要』によれば、その採録基準は「『呉越春秋』以下の、偏った地方勢力や僭乱の遺蹟を述べたものを採録し、『東観漢記』・『晋書』の例に準じて、総じて載記と呼ぶのが妥当である」とされています。

国共内戦後、台湾に拠点を移した中華民国政府が『清史稿』を改訂して『清史』を編纂した際には、鄭氏政権（明鄭）と太平天国に関する記事が「鄭成功載記」「洪秀全載記」として新たに追加されました。

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