極め出し

極め出し

極め出し（きめだし）は、大相撲における決まり手の一つです。この技は、相手力士の差し手や首、肩などの関節を自分の腕で挟み込んで極め、そのまま土俵の外へと押し出すことで勝負を決めます。

概要

極め出しは、体格が大きく、懐の深い力士が、比較的小柄な力士や、もろ差しを得意とする力士に対して用いることが多い技です。相手の体を制圧し、力でねじ伏せるようにして土俵外へ出す、豪快な印象を与える決まり手と言えるでしょう。しかし、極められた側は肘などの関節を故障するリスクも伴います。

歴史と名手

明治時代には大関・鳳凰馬五郎が、昭和時代には大関・清國勝雄、関脇・若見山幸平、関脇・高見山大五郎などが極め出しを得意としていました。平成に入ってからは、大関・貴ノ浪貞博、大関・魁皇博之、大関・把瑠都凱斗らが、そして令和の時代には横綱・照ノ富士春雄が、この技を駆使して数々の勝利を飾っています。

相手の差し手の肘関節を極めることを特に「閂（かんぬき）」と呼びます。もろ差しできた相手を両脇で挟んで極めるパターンが多く見られます。また、相手の片方の差し手を両腕で極める「片閂」は、江戸時代の力士・泉川が得意としたことから、「泉川」と呼ばれることもありました。その形で勝負を決めることを「撓め出し（ためだし）」と呼んだ時代もありましたが、現在では極め出しの一種として扱われています。明治時代の横綱である初代西ノ海嘉治郎や常陸山谷右エ門は、片閂の名手として知られていました。

豪快な決まり手

1987年11月場所13日目、横綱・千代の富士貢が新大関の旭富士正也に極め出しで勝利した一番は、特に印象的な例として語り継がれています。千代の富士は両差しで攻めてきた旭富士の両肘を閂で極め、その強烈な力によって旭富士の体が宙に浮き上がってしまったのです。そのまま千代の富士は前に出て、宙に浮いた旭富士を土俵の外へと運び出すという、豪快な相撲を見せました。近年では、2018年5月場所初日に十両の水戸龍聖之が千代ノ皇王代仁に極め出しで勝利しています。

相撲の格言

相撲界には「極めたら相手の顔を見ろ」という格言があります。これは、極め技をかける際には、相手の体勢や表情をしっかりと見極め、確実に仕留めるように、という意味が込められています。

関連項目

大相撲の決まり手一覧
極め倒し
* 撓め出し - 現在の公式の決まり手では極め出しに含まれる

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