極東 I LOVE YOU

アルバム『極東 I LOVE YOU』の概要

『極東 I LOVE YOU』（きょくとう アイ・ラブ・ユー）は、日本のロックバンドBUCK-TICKが2002年に発表した12枚目のオリジナル・アルバムです。アルバムは3月6日にBMGファンハウスからリリースされ、前作『ONE LIFE,ONE DEATH』（2000年）から約1年5ヶ月ぶりの新作となりました。音楽的には、電子音を取り入れつつも、より温かみのあるアコースティック・ギターを強調したサウンドに仕上がっています。このアルバムには、アメリカ同時多発テロやアフガニスタン紛争といった社会的背景が影響した楽曲が含まれています。

制作の背景

『ONE LIFE,ONE DEATH』のリリース後、BUCK-TICKは「PHANTOM TOUR」と題した全国ツアーを実施しました。2001年にはライブ・アルバム『ONE LIFE, ONE DEATH CUT UP』をリリースし、さらに活動の幅を広げていきました。特に櫻井敦司と今井寿は、ドイツのバンドKMFDMやイギリスのピッグと共にプロジェクトSCHWEINを結成し、同年にアルバム『SCHWEINSTEIN』をリリースしました。これらの経験が、次なるアルバム『極東 I LOVE YOU』に大きな影響を与えました。

音楽性とアルバムタイトル

アルバム『極東 I LOVE YOU』というタイトルについては、櫻井が現在の自分の立ち位置を考えるきっかけとなったことが影響していると述べています。タイトルの選定は今井によるもので、希望や愛をテーマとしたキャッチーな響きを意識したとのこと。アルバムの導入曲である「疾風のブレードランナー」は、アルバムのテーマに直結した内容になっており、曲の中での「共に青い春を駆け抜けよう」というフレーズは、過去の作品では出てこなかった言葉だと語っています。

音楽と楽曲について

このアルバムには、先行シングルとしてリリースされた「21st Cherry Boy」やWOWOWスポーツ番組『ヨーロッパサッカー』テーマソングの「極東より愛を込めて」が収録されています。先行シングル「21st Cherry Boy」は、アメリカ同時多発テロの影響を受けてタイトルが変更された経緯があります。アルバム全体を通じて、デジタルとアコースティックの音楽性を融合させた点が評価されています。

リリースとツアー

『極東 I LOVE YOU』はリリース後、オリコンチャートで最高12位に達しました。また、本作に伴ったコンサートツアー「WARP DAYS」が実施され、全国で25公演が行われました。このツアーの模様はライブ・ビデオとしてもリリースされています。さらに、アルバムのリリースから約15年後、30周年記念として全曲リマスター版が再リリースされました。

批評と評価

音楽情報サイト『CDジャーナル』や書籍『BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 史上最強のROCK BAND』では、本作の内容が新たなサウンドの試みをしているとして高く評価されました。特に、アコースティックとデジタル音の融合が印象的であることや、櫻井の歌詞が社会的なテーマを反映している点に注目が集まりました。次回作『Mona Lisa OVERDRIVE』との関連性についても言及されており、2つのアルバムは相互に繋がりを持っています。

総じて、『極東 I LOVE YOU』はBUCK-TICKにとって、音楽的な進化と社会的意識が融合した重要な作品となっているのです。これらの要素が、本アルバムの魅力を生み出しています。

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