楽進

楽進（がく しん）

楽進（がく しん、生年不詳 - 218年）は、後漢末期から三国時代の魏に仕えた武将。字は文謙（ぶんけん）。

生涯

曹操への参画と初期の活躍

小柄ながらも激しい胆力を持つ楽進は、曹操が董卓に対抗して挙兵した際にその傘下に入りました。当初は記録係として用いられていましたが、兵を集めるために故郷へ帰還した際、1000人もの兵を率いて戻ったことで、その武将としての才能が認められました。仮司馬・陥陣都尉に任命されると、濮陽での呂布、雍丘での張超、苦での橋蕤との戦いにおいて、常に先陣を切って活躍し、その功績により広昌亭侯に封じられました。

官渡の戦いとその後の戦役

官渡の戦いでは、于禁と共に歩兵と騎兵を率いて袁紹軍の別営を攻撃し、延津から西南にかけての袁紹軍の陣地を焼き払い、多数の敵兵を討ち取るという大きな戦果を挙げました。烏巣においては淳于瓊を討ち取り、袁紹軍の兵糧を断つことにも貢献しました。その後も、袁譚・袁尚兄弟との戦いや、高幹討伐戦などで活躍し、その都度、地位と領地を加増されていきました。

荊州での守備と合肥の戦い

荊州では、関羽や蘇非らを破り、南郡の異民族を降伏させるなど、守備の要として活躍しました。合肥の戦いでは、張遼や李典と共に合肥に駐屯し、孫権軍の侵攻を防ぎました。この戦いでは、李典との協力により、見事な連携を見せ、孫権軍を撃退することに成功しました。

右将軍への昇進と死

数々の功績が認められ、楽進は右将軍に昇進しました。これは、当時の魏において、于禁と並び筆頭の地位にあることを意味していました。建安23年（218年）に亡くなると、その功績を称えられ、威侯と諡されました。

評価

陳寿は、楽進を張遼、于禁、張郃、徐晃と並ぶ名将として評価し、その驍勇果断さを称えました。しかし、その詳細な記述が少ないことを指摘し、記録の漏れがあったのではないかと推測しています。

『魏書』では、楽進が曹操によって見出され、名将へと成長したことが、曹操の人物を見る目の確かさを示す例として挙げられています。

三国志演義

小説『三国志演義』では、弓を得意とする武将として描かれており、呂布軍の成廉や袁譚軍の郭図を弓で射殺する場面があります。濡須口の戦いでは、凌統との一騎打ちの最中に甘寧の矢を受けて負傷し、その後は登場しません。

関連項目

* 五将軍

もう一度検索