槙原稔

槇原 稔（まきはら みのる）

1930年1月12日、英国ロンドンで生まれ、2020年1[[2月13日]]に90歳で逝去した日本の実業家です。三菱商事の社長、会長、特別顧問を歴任し、三菱グループの中核を担いました。その功績から、従三位に叙されています。

生い立ちと教育

槇原氏は、三菱商事ロンドン支店に勤務していた父・覚と母・治子の長男として誕生しました。父親は岡山県の小作農の出身でしたが、岩崎弥太郎の長男・久弥からの奨学金を得て三菱商事に入社、水産部長を務めました。母親は秦豊吉の妹です。幼少期をイギリスで過ごした後、1937年に日本へ帰国し、成蹊小学校に入学しました。

1942年、父親が米潜水艦による撃沈事件で死去。母親と共に、岩崎彦弥太の別邸に身を寄せました。1949年に旧制成蹊高等学校を経て、聖公会のヴァイアル主教の誘いを受け、アメリカのセント・ポールズ・スクールに転入。当初は敵国からの留学生として警戒されましたが、その人柄と勤勉さで周囲を魅了しました。校内スピーチコンテストで優勝し、学校のダイバーシティ教育への転換を促すなど、その影響は大きく、この留学を機に成蹊学園とセント・ポールズ・スクールの交流が始まりました。1950年にはハーバード大学に入学し、1954年に政治学部を卒業。その後1年余り、同大学の奨学金で欧州と南米を遊学しました。

三菱商事でのキャリア

1956年3月に三菱商事に入社。1971年にはワシントン事務所の初代所長に就任し、海外での経験を積みました。その後、水産部長、取締役、米国三菱商事副社長、米国三菱商事社長、三菱商事常務、専務などを経て、1992年6月に三菱商事の社長に就任しました。

社長在任中は、社内資本金制度の導入や、総会屋との関係見直しを指示するなど、経営改革を積極的に推進しました。1998年4月1日に社長を退任し、会長に就任。1999年には三菱金曜会の世話人代表となりました。2010年6月には三菱商事の特別顧問に就任しましたが、2019年に同制度が廃止されたため退任しました。

その他の活動と晩年

2005年11月には、旭日大綬章を受章。2007年には東洋文庫理事長に就任し、文化活動にも貢献しました。2009年9月には日本経済新聞「私の履歴書」に登場し、自身の足跡を振り返りました。国連改革に関する有識者懇談会のメンバーも務めるなど、幅広い分野で活躍しました。

2020年1[[2月13日]]、心不全のため自宅で逝去。享年90歳。没後、従三位を叙されました。

家族・親族

妻の喜久子は、元三菱製紙会長の岩崎隆弥の三女です。旧制成蹊高校時代に隆弥の娘たちの英語家庭教師を務めた縁で結婚しました。この結婚により、三菱の創業者一族である岩崎家と親戚関係を結び、三菱商事社長就任に影響を与えたと考えられています。

長女の久美子はジャーナリスト、長男の純はゴールドマン・サックス証券勤務を経て、ネオテニー会長を務めました。また、義理の兄にあたる元良誠三は船舶工学者です。

槇原稔は、その卓越したリーダーシップと国際的な視野で三菱商事を牽引し、日本の経済界に大きな足跡を残しました。また、人道的で多様性を尊重する人物としても知られていました。

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