岩崎隆弥

岩崎隆弥（いわさき たかや）

岩崎隆弥は、1896年11月2日に生まれ、1983年6月2日に没した日本の実業家です。三菱財閥の創業者一族である岩崎家の出身で、三菱合資会社の社長を務めた岩崎久弥の次男として生まれました。

生涯

東京府（現在の東京都）で生まれた岩崎隆弥は、1909年に東京高等師範学校附属小学校（現在の筑波大学附属小学校）、1915年に東京高等師範学校附属中学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業しました。その後、1921年に東京帝国大学工学部を卒業し、1922年にはイギリスのグラスゴー大学へ留学しました。

1926年に帰国後、三菱製紙に入社し、実業家としてのキャリアをスタートさせました。1943年には三菱瓦斯（現在の三菱瓦斯化学とは別の会社）の会長に就任し、1944年には三菱製紙の会長となりました。しかし、太平洋戦争後の1947年、財閥解体政策により、父の久弥、兄の彦弥太、弟の恒弥と共に財閥家族に指定され、三菱傘下企業の全ての役職を辞任することとなりました。

その後、1958年に三菱製紙の会長に復帰し、1969年に同社の相談役に退くまでその経営に尽力しました。また、1967年から亡くなるまで、父の叔父である弥之助が設立に関わった小岩井農牧の会長も務めました。このように、岩崎隆弥は三菱グループの中核企業で要職を歴任し、日本の経済発展に大きく貢献しました。

家族・親族

岩崎隆弥は、元日本銀行総裁である池田成彬の長女、敏を妻に迎えました。二人の間には、1男（岩崎東一）と4女がいます。長女の夫は長崎総合科学大学の元学長で船舶工学者の元良誠三、三女の夫は三菱商事相談役の槙原稔です。

また、隆弥の義父である池田成彬の義弟には、内務官僚の宇佐美勝夫と元三菱銀行頭取の加藤武男がいます。宇佐美勝夫の息子には、三菱銀行頭取・日銀総裁を務めた宇佐美洵と、元宮内庁長官の宇佐美毅がおり、彼らは敏の従兄にあたります。さらに、三菱ふそうトラック・バスの前会長である宇佐美隆は、洵・毅兄弟の甥です。

池田成彬自身は三井財閥の大番頭でしたが、岩崎家や三菱グループと縁の深い加藤家・宇佐美家と姻戚関係を結んでおり、池田家もまた三菱と非常に深い縁があると言えるでしょう。

隆弥の妹である美喜は、外交官の沢田廉三に嫁ぎ、戦後はエリザベス・サンダースホームを開設し、関連書籍もいくつか出版しました。

このように、岩崎隆弥の家族や親族は、政界、財界、学界に広く影響力を持つ人々で構成されており、その家系が日本の社会に深く根ざしていることがわかります。

参考文献

* 佐藤朝泰 『門閥 旧華族階層の復権』 立風書房 1987年4月10日第1刷発行 ISBN 4-651-70032-2

もう一度検索