横断山脈

横断山脈について

横断山脈（おうだんさんみゃく）は、中国南西部に位置する雄大な山脈であり、チベット高原の南東部に広がります。この山脈は四川省、西部雲南省、そしてチベット自治区の東部で交わる地点を南北方向に貫いています。横断山脈は、その長さと幅の面において、中国にある南北方向の山脈の中で最も顕著な存在として知られています。その面積は60万平方キロメートル以上に達し、周囲の地域において重要な地理的特徴を形成しています。

名称の由来

この地域は多くの褶曲山脈や峡谷が平行して並んでおり、山々は雄大で、谷は深いことが特長です。漢民族が居住する中原や華南、そして四川盆地などの東西方向の交通を遮るように横たわっているため、その名が「横断山脈」と名付けられました。地域の山脈は、交通の障壁としての役割を果たしていることから、この名称が適切とされました。

構成と地理

横断山脈は複数の山脈から成り立ち、これらの山脈の間には大河が流れています。東から西にかけて、邛崍山脈、大渡河、大雪山脈、雅瑪江、沙魯山脈、金沙江（長江）、芒康山脈（寧静山脈）、そして瀾滄江（メコン川）や怒江（サルウィン川）などが次々と並行しています。これにより、「四水六崗」として知られる名が付けられることもあります。

地質・地貌の特徴

横断山脈はヒマラヤ造山運動の結果、ユーラシアプレートとインドプレートの衝突によって形成された褶曲山脈です。この中で、主峰となる大雪山脈のミニヤコンカ（貢嘎山）は、海抜7,556メートルという中国最高峰の一つとなっています。また、怒山山脈に連なる梅里雪山も広く知られています。金沙江と瀾滄江、怒江の源流付近は、険しいV字谷を形成し、世界遺産に指定される「三江併流」の地帯としても名高い地区です。

ただし、この地域は土石流や地滑り、がけ崩れなどの土砂災害のリスクが高く、地震も頻繁に発生しています。これにより、中国における主要な地震帯の一つともなっています。

資源の豊富さ

横断山脈は中国の重要な非鉄金属の産地でもあります。特に、金沙江、瀾滄江、怒江沿岸には100種類以上の金属が埋蔵されており、里昂市周辺は特に鉄鉱石が豊富です。また、この山脈は水資源拡げる重要な地域でもあり、金沙江は渇水時においても3,000メートルの落差を誇ります。この特性を活かして、水力発電やダムによる水貯蔵等が行われています。

この山脈の生態系は亜高山帯針葉樹林に覆われ、独特で多彩な生態系を育んでおり、多くの動植物が息づいています。豊かな自然環境は、研究や観光の対象にもなっており、我々にとっても不可欠な資源を提供してくれています。

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