橘公長

橘公長（たちばな の きみなが）

橘公長は、平安時代末期の武士であり、右馬允を務めました。弓馬に優れ、知略にも長けていたとされています。

出自

橘公長の出自については、以下の二つの説があります。

伊予橘氏の末裔説: 天慶の乱で藤原純友を討伐した橘遠保（越智氏一族の伊予橘氏当主）の子孫とする説。遠保から公長へと繋がる系図も存在します。
中央貴族橘氏の末裔説: 参議・橘好古の孫である橘則光の子・季通の玄孫であり、父は鳥羽天皇より「公」の字を下賜された橘公光とする説。

略歴

元々平知盛の家人でしたが、治承4年（1180年）12月に平家を見限り、同僚であった加々美長清の仲介で源頼朝の麾下に入りました。「京に馴るるの輩」として頼朝に重用されたと伝えられています。

粟田口で源為義の家人であった斎藤実盛・片切景重と喧嘩になった際、頼朝の祖父・源為義が朝廷に訴えず斎藤・片切を諫めた事から、公長は源家への恩を忘れず、縁者を訪ねて遠江国に下向し、鎌倉へ向かったという逸話が残っています。

元暦元年（1184年）には、平頼盛の帰洛にあたって餞別の宴に同席。その後、源義経の下で戦い、元暦2年（1185年）の壇ノ浦の戦い後には、捕虜となった平家の総帥・平宗盛の処刑を担当し、その事と平重衡の最期について鎌倉の頼朝に報告しました。

『平家物語』には、公長がかつて平家の家人であったことを人々が忘れず、その変わり身を批判したという記述があります。

子孫

子孫は肥前国に広がり、次男の公業が一時所領とした小鹿島（現秋田県男鹿市）の地名をとった小鹿島氏として繁栄しました。

系譜

父：橘公満、公光、公重
母：不詳
妻：不詳
長男：橘公忠（橘太）
次男：橘公業（橘次） - 子孫は小鹿島氏
男子：橘公経
男子：橘公仲
男子：橘公高？（＝楠木四郎？)

参考文献

藤田精一『楠氏研究』（増訂四）積善館、1938年。

関連項目

平家物語
* 吾妻鏡

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