櫃ヶ山

櫃ヶ山（ひつがせん）

櫃ヶ山は岡山県真庭市の中央部に存在する美しい山で、標高は954メートルです。この山は、美作三湯のひとつである湯原温泉郷の近くに位置しており、地域のシンボルとしても親しまれています。この山の名前は、古くから流れる旭川の上流にある登山口から見える、3つの櫃（ひつ）に似た形から名付けられたものです。また、中国百名山の一つに数えられており、地元では「湯原富士」とも呼ばれています。

様々な呼び名と地域の伝承

櫃ヶ山は「社富士」とも称されることがあり、地域の住民にとって特別な意味を持つ山です。山の8合目に位置する「天狗の森」には、天狗が祀られており、伯耆大山の天狗（大山坊）とこの山の天狗（櫻木坊）が出会うという伝説が伝わっています。このような伝承からも、櫃ヶ山が地域の信仰と文化と深く結びついていることが伺えます。

山の特徴と自然

櫃ヶ山の山頂に立つと、湯原温泉の全景を見渡すことができ、北には蒜山三座や西に広がる星山への尾根が見渡せる、美しい眺望が自慢です。北側の斜面にある天狗の森は、約850メートルの地点に位置し、古くから勝負の神として地域の人々に信仰されています。この森はブナの原生林に囲まれ、ケヤキ、ミズナラ、クマシデなど多様な植物が自生しており、多くの野鳥も観察できます。

また、御堂付近には県内でも有数の巨木であるカツラの木があり、地元では神木として崇められています。ここでは、春と秋に「天狗様の大祭」という護摩供養が行われ、地域の人々が集い、天狗への感謝と祈りを捧げています。

登山ルート

登山のスタート地点は久納の停留所で、バスを利用してアクセス可能です。登山口からは民家や畑を越え、急な林道を登って行くと、再び林に入りながらも櫃ヶ山の特徴的な姿を見上げつつ登れるコースが続きます。登山ルートは、7合目から右手にトラバース道を進むことで天狗の森をぬけ、最後の急坂を登ると山頂に到着します。ただし、帰り道は以前のルートが登山道の崩壊により通行不可となっている場合があるため、改めて登山口へ戻る必要があります。

アクセス方法

山の登山口までのアクセスは便利です。JR姫新線の中国勝山駅からは、真庭市コミュニティバス「まにわくん♡」30系統を利用し、約25分で久納バス停に到着します。そこから南に約100メートル歩くと、登山口の標識が見えます。また、米子自動車道の湯原インターチェンジからは国道313号を経由して約3.5キロメートルの距離にあるため、車でのアクセスも可能です。

近隣の観光地

櫃ヶ山周辺には、自然が豊かで観光スポットも点在しています。特に竜頭の滝や湯原町、湯原温泉などは、訪れる際にぜひ立ち寄りたいスポットです。大自然と温泉が調和したこの地域で、心癒される時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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