正覚寺 (北杜市須玉町若神子)

正覚寺について

正覚寺は、山梨県北杜市須玉町若神子に位置する曹洞宗の寺院です。甲斐百八霊場の70番札所として知られています。この寺は、甲斐源氏の祖である源義清によって創建され、父である義光の菩提を弔うために建てられました。現在も義光・義清父子の位牌が安置されており、その供養塔も境内に立っています。

歴史

正覚寺は、1127年（大治2年）に源義清によって開基されました。当初は現在の北杜市高根町に位置していましたが、1430年（永享2年）に雲鷹玄俊によって中興され、現在の場所に移転しました。この時、雲鷹玄俊は曹洞宗の僧侶であり、正覚寺は曹洞宗に改宗しました。また、甲府市の興国寺の末寺となり、巨摩郡を中心に34の末寺を持つ大きな寺院となりました。

江戸時代に入ると、1724年（享保9年）以降、甲斐国が徳川幕府の直轄地となり、正覚寺は徳川田安家の祈願所として特別な保護を受けるようになりました。高家の保護によって寺格を高め、大きな権勢を持つようになったとされています。その証拠として「御用札」が現存しており、歴代の住職は毎年正月に江戸城へ参る際に、この御用札を掲げて行列を組んだと過去帳に記録されています。

境内

正覚寺の境内には、以下のような建造物があります。

山門: 山門の楼上には十六羅漢が左右に並び、その前には100体を超える五百羅漢が配置されています。
本堂: 本堂には、源義光・義清父子の位牌が安置されています。
鐘楼:
経蔵:
味噌なめ地蔵: 「味噌なめ地蔵」と呼ばれる地蔵菩薩像は、患部と同じ場所に味噌を塗ると病気が治ると言われており、味噌で覆われています。この地蔵は座高約1.6〜1.7メートルで、「放光地蔵」とも呼ばれます。もとは信州川中島にあったものを、川中島の戦いの際に武田信玄が甲州に移すため縄を巻いて運んだ際、正覚寺の門前で動かなくなったため、この地に安置されたと伝えられています。その背面の痕跡は、移動の際に付けられたものとされています。

寺宝

正覚寺には、以下のような貴重な寺宝が残されています。

三枝雲岱の絵: 山梨県北巨摩郡明野村出身の南宋画家、三枝雲岱が杉戸に描いた絵です。丹頂鶴、梅林、老松が描かれています。
御用札: この札を持って街道を進むと、大名行列が来ても通行することができたとされています。
かご（人用・荷物用）: 三つ葉葵の紋が入っており、荷物用のかごは将軍家に土地の産物を献上する際に使用されました。

交通アクセス

中央自動車道須玉ICから車で約4分。

脚注

参考文献

磯貝正義、秋山敬 編『定本・甲斐百寺 その歴史と文化』郷土出版社、1996年7月。ISBN 4-87663-337-1。
須玉町立須玉中学校 編『「心と豊かな生徒」の育成をめざして』須玉町立須玉中学校〈ふるさとライブラリー〉、1987年。
テレビ山梨 編『甲斐百八霊場』テレビ山梨、2000年8月10日。ISBN 4998070215。
東都山梨新聞社『甲斐源氏と武田氏』東都山梨新聞社、1967年。
山梨県高等学校教育研究会地歴科・公民科部会 編『山梨県の歴史散歩』山川出版社〈歴史散歩 19〉、2007年2月。ISBN 978-4-634-24619-5。
山梨日日新聞社 編『山梨百科事典』（改訂増補版）山梨日日新聞社、1989年7月。

関連文献

須玉町誌編纂委員会 編『須玉町誌』須玉町、1975年8月。

外部リンク

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