武渟川別

武渟川別（たけぬなかわわけ）

武渟川別は、生没年不詳の古墳時代の皇族です。『日本書紀』には「武渟川別」または「武渟河別」と、『古事記』には「建沼河別命」と記されています。第8代孝元天皇の皇子である大彦命の子で、阿倍臣（阿倍氏）の祖とされています。

四道将軍としての活躍

武渟川別は、崇神天皇の時代に四道将軍の一人として、東方に派遣されました。他の将軍とともに各地を平定し、朝廷の勢力拡大に貢献しました。特に、『日本書紀』には、東方十二道を平定したと記されています。ただし、この「東方十二道」は後世の国制を反映したものであり、当時の状況を正確に表しているわけではないと考えられています。

その他の功績

四道将軍としての活動以外にも、武渟川別はさまざまな功績を残しています。

出雲振根の誅殺: 崇神天皇の命により、吉備津彦とともに、出雲の豪族である出雲振根を誅殺しました。
神祇祭祀の担当: 垂仁天皇の時代には、大夫（まえつきみ）の一人として、神祇祭祀を天皇から命じられました。

氏族との関わり

武渟川別は、阿倍氏の祖として知られています。『日本書紀』や『古事記』には、いずれも阿倍氏の遠祖または祖として記述されています。また、『新撰姓氏録』には、武渟川別を祖とする竹田臣など、複数の氏族が記録されています。

史実性についての考証

武渟川別を含む四道将軍の史実性については、諸説があります。四道将軍の派遣自体を史実とする説もあれば、後世の創作とする説もあります。いずれにしても、武渟川別が古代史において重要な役割を果たした人物であることは間違いありません。

後世への影響

武渟川別は、古代の豪族である阿倍氏の祖として、後世に大きな影響を与えました。また、各地の神社や伝承にもその名が残されており、人々に語り継がれています。

関連する神社

伊佐須美神社
武蔵御嶽神社

参考文献

『日本古代氏族人名辞典 普及版』吉川弘文館、2010年。
宝賀寿男『阿倍氏 四道将軍の後裔たち』青垣出版、2013年。

関連項目

飛鳥時代以前の人物一覧
四道将軍

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