武蔵家刀自

武蔵家刀自（むさし の いえとじ）とは

武蔵家刀自は生年は不詳ですが、奈良時代後期に活躍した女官であり、武蔵の宿禰姓を持つ人物です。彼女は、現在の東京都足立区と埼玉県南東部にあたる足立郡の出身であり、武蔵不破麻呂との関係が推測されています。彼女の家系に関する情報は不正確な面が多いため慎重に扱う必要があります。特に「西角井家系図」と呼ばれる文献では不破麻呂の娘とされていますが、その信憑性については疑問が残ります。

経歴

称徳天皇の崩御後、彼女は光仁天皇の朝廷内で局地的な勢力を増していきました。宝亀元年、賀陽小玉女や桑原島主、和気広虫と共に位階が授与され、外従五位下から従五位下に昇進し、その後も昇進を果たしています。彼女の記録はその時期以降しばらく途絶えるものの、桓武天皇の時代には順調に出世していったようです。

延暦5年には従四位下にまで昇進し、この時点で彼女は一時的に最高位となりました。延暦6年4月11日に亡くなった際には、既に現役の女官としての地位にあったことが記録されていますが、死因については詳細は不明です。彼女の功績は、武蔵不破麻呂の従五位上の位階を超えるほどのものでした。

官職と役割

武蔵家刀自は「掌侍」とも称され、これは内侍司に所属する三等官であり、後宮の礼式などを担当する重要な役割を果たしていました。また、「典掃」という掃除や宮中の設営を司る二等官としての役割も持っており、約20年間にわたって宮中において影響力を持つ地位に就いていました。彼女の立場は、地方の豪族としての背景を持ちながら、後宮での活躍を通じて一族の政界への進出を間接的に支え、地方における地位向上に寄与したと考えられています。

官歴

武蔵家刀自の官歴は以下のように記されています。

• - 神護景雲元年（767年）12月6日：大部直から武蔵宿禰に改姓（？）。
• - 時期不詳：外従五位下。
• - 宝亀元年（770年）10月25日：従五位下。
• - 延暦2年（783年）2月5日：正五位下。
• - 延暦4年（785年）正月9日：正五位上。
• - 延暦5年（786年）正月14日：従四位下。
• - 時期不詳：掌侍兼典掃。
• - 延暦6年（787年）4月11日：卒去。

まとめ

武蔵家刀自は、奈良時代の女性官僚として重要な地位にあり、彼女の業績は地方豪族出身の彼女を後宮で影響力のある人物に押し上げました。彼女の存在は、当時の政局における女性の役割や貢献を考えるうえで非常に興味深いものです。彼女の生涯を通じて、女性がどのようにして政局に関与していったのかを知る手がかりとなるでしょう。

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