歩兵第66連隊

歩兵第66連隊

歩兵第66連隊（ほへいだい66れんたい）は、かつて存在した大日本帝国陸軍の歩兵部隊の一つです。その歴史は明治時代に始まり、二度の編成を経て、激動の昭和期を戦い抜きました。

創設から一度目の廃止まで

本連隊は、明治41年（1908年）5月8日に軍旗を拝受し編成されました。しかし、第一次世界大戦後の軍縮の流れを受け、大正14年（1925年）5月1日、宇垣軍縮として知られる軍備整理により一度廃止されることとなります。

日中戦争下の再編成と戦歴

昭和12年（1937年）、日中戦争の勃発に伴い、本連隊は特設師団である第114師団の隷下部隊として再動員されました。同年11月10日、杭州湾金山衛に上陸し、その後、南京攻略戦に加わりました。翌昭和13年（1938年）5月には徐州会戦にも参加しています。これらの戦いを経て、昭和14年（1939年）8月に帰還し、一度復員しました。

太平洋戦争下の再編成と戦歴

昭和15年（1940年）8月、軍制改革により第51師団が新設されるに伴い、本連隊も再び編成されました。昭和16年（1941年）8月頃からは中国南部の広東付近で警備任務に就きます。太平洋戦争が始まると、同年12月には第23軍の指揮下に入り、連隊長である荒木勝利大佐を支隊長とする荒木支隊の基幹部隊として香港の戦いに参加しました。

南方戦線、ニューギニアでの苦闘

香港攻略後、戦線が南方へ拡大する中で、昭和17年（1942年）11月、本連隊は南方の重要拠点ラバウルに進出しました。そして昭和18年（1943年）4月、ニューギニア島のラエに到着し、以降、米軍やオーストラリア軍との間で極めて困難な状況下での戦闘を強いられます。同年6月以降はラエ周辺で激戦を繰り広げ、8月頃にはキアリに移動。部隊の残存者はウエワクに集結しましたが、アイタペやホランジアなどでも絶望的な戦況が続きました。補給もままならない過酷な環境の中、多くの犠牲を出しながら終戦まで戦い続けました。

宇都宮に残る連隊の記憶

本連隊の宇都宮にあった施設のうち、厨房や倉庫として使用されていた建物の一部が現在も残されています。この建物は、栃木県立宇都宮中央女子高等学校の敷地内にあり、今も倉庫として利用されています。歴史的な価値が認められ、平成12年（2000年）には「宇都宮中央女子高校赤レンガ倉庫（旧第六十六歩兵連隊倉庫）」として国の登録有形文化財に登録されました。かつての軍事施設が、時代を経て学校の施設として活用され、さらに国の文化財として保存されていることは、連隊の歴史を現代に伝える貴重な存在となっています。

昭和20年（1945年）8月、太平洋戦争の終結と共に、歩兵第66連隊はその歴史の幕を閉じました。その部隊が辿った道程は、明治から昭和にかけての日本の激動の時代を映し出しています。

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