毛利吉安

毛利吉安は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将であり、豊後佐伯藩初代藩主である毛利高政の弟として知られています。

経歴

吉安は、鯰江氏の流れを汲む森高次の次男として生まれました。幼少の頃より父や兄と共に豊臣秀吉に仕え、文禄4年（1595年）には、兄・高政が豊後国日田郡・玖珠郡において2万石を与えられた際、吉安もその分与として2,000石を領しました。

慶長6年（1601年）、高政が佐伯2万石に封じられると、吉安も領内の床木・堅田2郷10ヶ村において2,000石を与えられました。寛永5年（1628年）に高政が亡くなり、寛永9年（1622年）には跡を継いだ高成も死去します。高成の嫡子である高直は当時3歳であったため、吉安は高成の異母弟である高定を次期藩主に擁立しようとしました。しかし、翌年、高直が家督を継承することとなり、お家騒動に敗れた吉安は所領を幕府に返上し、旗本に転じました。そして、新たに上総国において200石と蔵米1,800俵を給されることとなりました。

その後、吉安は家名を父祖の森氏に戻しました。寛永17年（1640年）に68歳で亡くなり、南泉寺に葬られました。南泉寺は以後、同家の菩提寺となっています。家督は嫡男の吉隆が継承しましたが、孫の代に後継者が途絶え、断絶しました。また、庶長子の吉房の家系も旗本家となりましたが、こちらも18世紀に断絶しています（森忠右衛門を参照）。

人物

吉安は、兄である高政をよく補佐し、佐伯藩の確立に貢献しました。しかし、藩主後継をめぐるお家騒動においては、自身の立場を失うこととなり、晩年は不遇であったと言えるでしょう。それでも、旗本として森家を存続させようと尽力しました。

参考文献

豊田寛三「毛利高政」『国史大辞典』吉川弘文館、1992年。
大分県総務部総務課 編『大分県史 近世篇』 1巻、大分県、1983年。
『大分県の地名』中野幡能（監修）、平凡社〈日本歴史地名大系〉、1995年。ISBN 978-4-582-91018-6。
和泉清司『徳川幕府成立過程の研究』1995年。
* 『寛政重修諸家譜』 17巻、高柳光寿（監修）、続群書類従完成会、1965年。ISBN 978-4-7971-0221-5。

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