気管支肺胞洗浄液検査

気管支肺胞洗浄液検査：肺の病態を探る貴重なツール

気管支肺胞洗浄液検査は、肺の病気の診断に役立つ検査法です。気管支鏡という細い管を気管支に挿入し、生理食塩水を肺胞に注入、回収することで得られた洗浄液を分析します。この洗浄液には、肺胞や気管支から放出された細胞や病原体などが含まれており、それらを詳しく調べることで、肺の病気を診断する上で重要な情報が得られます。肺生検と比較して侵襲性が低く、患者への負担が少ないことも大きな利点です。

検査でわかること

気管支肺胞洗浄液検査では、以下の情報を得ることができます。

細胞の種類と数: 洗浄液中に含まれる細胞の種類（マクロファージ、リンパ球、好中球など）と数を分析することで、炎症の程度や種類を推測できます。例えば、好酸球の増加はアレルギー性疾患を示唆し、リンパ球の増加は感染症や間質性肺炎を示唆する可能性があります。喫煙者の場合、マクロファージの増加が見られる傾向があります。
病原体: 喀痰検査では検出が難しい結核菌、真菌、ウイルスなどの病原体の有無を調べることができます。これにより、感染症の診断や原因菌の特定に役立ちます。
腫瘍細胞: 肺がんなどの悪性腫瘍細胞の有無を調べることができます。喀痰検査では検出困難な場合でも、洗浄液検査で検出できる可能性があります。
含鉄小体: アスベストなどの無機質繊維がマクロファージに貪食された際に形成される含鉄小体は、アスベスト関連疾患の診断に役立ちます。

検査の適応

気管支肺胞洗浄液検査は、様々な肺疾患の診断に用いられます。主な適応は以下の通りです。

びまん性肺疾患: 間質性肺炎、過敏性肺臓炎、薬剤性肺炎、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、サルコイドーシス、塵肺、肺胞蛋白症、びまん性肺胞出血症候群など、肺全体に広がる病気の診断に役立ちます。
感染症: 結核、真菌症、ウイルス性肺炎など、喀痰検査では検出が困難な感染症の診断に有効です。
* 悪性腫瘍: 肺がんや他の臓器のがんの肺への転移の診断に役立ちます。

検査の方法

気管支鏡を気管支に挿入し、生理食塩水を注入・回収する操作を繰り返して洗浄液を採取します。採取する部位は、病変の位置や広がりによって異なります。通常は、20～50mlの生理食塩水を複数回注入・回収します。

検査結果の解釈

検査結果は、細胞の種類や数、病原体の有無、含鉄小体の有無などを総合的に判断して解釈されます。基準値は、非喫煙者と喫煙者で異なるため、喫煙歴なども考慮されます。

まとめ

気管支肺胞洗浄液検査は、侵襲性が低く、様々な肺疾患の診断に役立つ安全で有効な検査法です。肺の病気の診断に迷う場合、医師と相談して検査を受けることを検討してみましょう。より詳細な情報については、専門医にご相談ください。

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