水無瀬親具

水無瀬親具：波乱の生涯を送った貴族、堀河家の祖

水無瀬親具（みなせ ちかとも）は、安土桃山時代に生きた公家であり、堀河家の祖としてその名を歴史に刻んでいます。権大納言・高倉永家の四男として生まれましたが、権中納言・水無瀬兼成の養嗣子となりました。

官僚としての道のり

親具は天文23年（1554年）に叙爵を受け、公家としての道を歩み始めます。永禄6年（1563年）には元服し、従五位上・侍従に叙任。その後も順調に昇進を重ね、永禄10年（1567年）には正五位下・左近衛少将に任じられました。元亀2年（1571年）には、養父・兼成に実子・氏成が生まれたことがきっかけで、家中に不和が生じます。天正4年（1576年）には織田信長の調停を受けるなど、その家督争いは激化の一途を辿りました。

天正3年（1575年）には左近衛中将、天正8年（1580年）には右兵衛督と武官を歴任し、天正9年（1581年）には正四位下に昇りました。

織田信孝との接近、そして美濃へ

天正10年（1582年）の本能寺の変後、山崎の戦いの混乱に乗じて、親具は安土城下に出仕し、織田信孝に接近します。この時期に、兼成が安土へ送った家人を殺害し、兼成自身をも襲撃するという事件を起こしました。これは、兼成派の家人による親具毒殺計画が発覚したためとされています。これらの狼藉により勘当された親具は、兼成との対立もますます深刻化し、信孝を頼って美濃国へと下りました。

堀河家の創設と晩年

天正13年（1585年）、親具は帰洛し、徳川家康の庇護を得て堀河家を立てました。文禄4年（1595年）には、再び自身の毒殺を企てた家人を殺害し、この事件を家康に訴えて出家し、伏見に移り住みました。寛永8年（1632年）12月24日、80歳でその生涯を閉じました。

人物像

親具は、養父と同じく能書家としても知られており、関白豊臣秀次から将棋の駒の作成を依頼されたという逸話が残っています。この駒は「水無瀬駒」と呼ばれ、現在もその名を知られています。

官歴

天文23年（1554年） 3月10日：従五位下
永禄6年（1563年） 3月19日：元服。3月20日：従五位上。3月21日：侍従
永禄10年（1567年） 5月15日：正五位下。10月4日：左近衛少将
天正2年（1574年） 正月5日：従四位下
天正3年（1575年） 4月23日：左近衛中将
天正6年（1578年） 正月6日：従四位上
天正8年（1580年） 2月：右兵衛督
天正9年（1581年） 4月21日：正四位下
天正10年（1582年） 日付不詳：養父義絶
文禄4年（1595年） 日付不詳：出家
寛永8年（1631年） 12月24日：卒去

系譜

正室：中條持胤娘
男子：堀河康胤（1592-1673）
男子：樋口信孝（1600-1658）
生母不詳の子女
男子：僧 - 随心院家宝幢院
女子：将軍家女房

水無瀬親具は、激動の時代を生き抜き、堀河家の礎を築いた人物として、その名は後世に伝えられています。

参考文献

『日本人名大辞典』（講談社、2001年）
「堀河家」武部敏夫（『国史大辞典』吉川弘文館）
『大日本史料』第11編の1（東京大学史料編纂所）

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