水野忠友

水野忠友：波乱の幕末を駆け抜けた老中

水野忠友は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した、稀代の政治家です。旗本から大名へと昇り詰め、老中という要職を歴任しました。その生涯は、幕府政治の激動期を象徴する、ドラマチックなものでした。

家系と初期の経歴

1731年（享保16年）、大身旗本水野忠穀の長男として誕生しました。水野家は信濃松本で7万石を領する大名家でしたが、忠友の従兄にあたる水野忠恒の刃傷事件により改易され、家禄は大幅に減ぜられました。忠友は12歳で家督を相続し、信濃佐久郡7000石を領する旗本となりました。

その後、着実に地位を上げていきます。徳川家治の小姓を経て、小姓組番頭格、御側衆と重要な役職を歴任。若年寄に昇進し、三河で6000石の加増を受け、三河大浜に城地を与えられて、水野家は再び大名として復活を果たしました。さらに駿河沼津2万石に移封され、最終的には3万石の大名となりました。

田沼意次を支え、老中へ

幕府内では、田沼意次の重商主義政策を積極的に支持しました。若年寄、側用人、勝手掛老中格を経て、正式な老中となり、幕府の要職に就いたのです。この間、沼津城の築城なども行い、藩政にも尽力しました。

田沼失脚と晩年

しかし、田沼意次の失脚は水野忠友にも大きな影響を与えました。意次の養子となっていた忠徳を廃嫡し、分家旗本の水野忠成を養嗣子とするなど対応に追われたものの、田沼派であったという世間の評判は覆らず、天明の打ち壊しを機に老中職を免職されました。

10年後、寛政9年（1797年）には、西丸付老中として幕政に復帰を果たします。しかし、享和2年（1802年）に72歳で死去しました。

功績と評価

水野忠友は、家門の再興、藩政の安定に尽力しただけでなく、幕府の要職で活躍しました。田沼意次の政策を支えた功績は大きく、一方で、その失脚に伴い自身も一時失脚するなど、激動の時代を生き抜いた人物として知られています。その生涯は、幕末の政治的変化を理解する上で貴重な資料となっています。

系譜と参考文献

水野忠友の系譜、および詳しい経歴については、各種史料に記されています。例えば、「柳営補任」、「内閣文庫蔵　諸侯年表」、「御代々略記 沼津藩水野家年代記」などが挙げられます。これらの資料を参照することで、水野忠友の人生をより深く理解することができます。彼の生涯は、江戸幕府の政治構造や、大名の役割を理解する上で、重要な一例と言えるでしょう。

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