水間鉄道7000系電車

水間鉄道7000系電車

水間鉄道7000系電車は、かつて東急電鉄（現：東急株式会社）で活躍していた7000系電車を譲り受け、水間鉄道で使用するために改造した車両です。本項では、中間車を先頭車化改造した7050形電車と、更新改造車である1000形電車についても詳しく解説します。

概要

老朽化した501形電車の代替として、新たな車両の導入を検討していた水間鉄道は、当時使用していた直流600Vに対応した中古車両の譲渡を南海電気鉄道に打診しました。しかし、同時期に東急電鉄で7000系電車が大量に余剰となることが判明したため、急遽、東急7000系を譲り受けることになりました。

東急7000系の使用電圧は直流1,500Vであったため、導入にあたっては600Vへの降圧改造が検討されました。しかし、昇圧に伴う変電所の設備改造費用の方が安価であると判断されたため、変電所を改造して昇圧することになりました。この変電所の設備も、東急電鉄で不要になったものが譲渡されています。

当初の所要両数である10両は、東横車輌電設（現：東急テクノシステム）においてワンマン運転に対応するための改造が行われました。種車には先頭車と中間車があり、中間車には切妻非貫通型の運転台が新たに設置されました。全電動車の2両編成で、貝塚駅側のM1車が7000番台、水間駅側のM2車が7100番台と区分され、先頭車化改造車はそれぞれ7050番台と7150番台が付与されました。

後述する1000形への改造が進んだ結果、7000系として最後まで残った7003F編成を使用したさよなら運転が、2007年6月24日に水間発10時6分の列車から3往復運行されました。7003F編成は1000形への改造を受けることなく定期運用から離脱しましたが、同年10月20日と21日に開催された鉄道の日を記念したイベントで復活運転を実施しました。現在は水間観音駅に隣接する車庫に留置されています。

特徴

制御装置はすべて東洋電機製造製です。

全10両のうち4両が元中間車を先頭車化改造した車両です。

譲渡に際し、先頭化改造車は改造時に、7001-7101編成は水間鉄道入線後、屋根上に東急8000系と同型の集約分散式冷房装置（冷却能力9000kcal/h）3基が新設されました。先頭車化改造車の電源用静止形インバータは、東急8090系から発生したものを流用しています。

回生ブレーキは搭載されたままですが、水間鉄道では使用されていません。

ワンマン運転に対応した改造が施されていますが、早朝・深夜を除き、通常はツーマン運転で運行されています。

先頭車の前面下部には水間鉄道の社紋が表記されています。また、側面下部に広告ステッカーを貼付した編成も存在していました。

地方私鉄に譲渡された車両は、一般的に加速度が下げられることが多いですが、水間鉄道では東急時代と変わらない高加速度を維持しています。

行先表示幕は登場以来「水間⇔貝塚」の表示で使用されていましたが、2000年代頃から行先表示札を先頭車の前面左側に装着するようになりました（現在は使用されていません）。

床下の塗装は東急電鉄時代の黒色のまま入線しましたが、南海電気鉄道に検査を委託している関係で、検査のタイミングで南海標準のグレーに変更されました。

更新改造車（1000形）

水間鉄道では、2005年から行われていた会社更生手続きの完了を受け、2006年度より7000系の内外装を更新する工事を実施しました。更新を受けた車両は、形式を1000形に改められました。2006年12月16日に1001F（元7002F）が出発式を行い営業運転を開始、2007年3月初頭より1003F（元7001F）、同年4月末より1005F（元7051F）、6月23日より1007F（元7052F）がそれぞれ営業運転に就きました。

主な変更点は以下の通りです。

前面・側面にカラー帯の追加（1001F：赤、1003F：青系、1005F：緑系、1007F：オレンジ系。前面にはさらに白帯が追加。）
側面の社紋をCIイメージから編成ごとに四季をイメージしたデザインに変更（1001F：コスモス、1003F：ツバキと水間寺の塔、1005F：サクラとチョウ、1007F：山と川とトンボ）
前面行先表示のLED化
運転台下部にATS車上子保護のための排障器を設置
非冷房車への集約分散式冷房装置設置（電源用の電動発電機は南海電気鉄道7100系からの発生品を流用）
交通バリアフリー法への適合（運転室後部に車椅子スペースの設置、ドアチャイム・ドア開閉予告ランプの装備、運転室後部と連結部に次駅案内装置の設置）
自動放送装置を8トラテープから音声合成装置へ変更
連結部への転落防止装置の設置
室内化粧板・床材・座席モケットの更新
ATS関連機器の装備
ワイパーを空気式（先頭車化改造車は手動式）から電気式に交換
車体各部のHゴムガラス支持を金属押さえ支持に交換
車体各部に残っていた東急時代の補助機器をすべて撤去（撤去跡はステンレス板で埋められている）

なお、車内のつり革には手が加えられていないため、東急百貨店やBunkamura、109など東急時代の広告がそのまま残されており、非常通報装置も紐式のままとなっています。

関連項目

弘南鉄道7000系電車
北陸鉄道7000系電車
福島交通7000系電車
* 秩父鉄道2000系電車

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