汐ノ海運右エ門

汐ノ海運右エ門の生涯と業績

汐ノ海運右エ門（しおのうみ うんえもん）は、1918年3月1日に兵庫県印南郡（現在の姫路市）で誕生しました。本名は岸本忠夫（きしもと ただお）で、出羽海部屋に所属した大相撲力士です。彼は最高位として西大関に昇進し、その力士としてのキャリアを通じて特に右四つ、寄り、筈押しの技術を得意としていました。当時の体格は180cm、113kgであり、強力な肉体を持っていました。

幼少期と相撲キャリアの始まり

岸本は幼少期から体格が大きく、腕力に優れた少年でした。そのため、大人と同じ塩田作業をこなしながら育っていきました。しかし、彼の相撲の素質を見た好角家により、出羽海部屋への入門が促されました。在籍していた出羽海部屋は、当時「打倒双葉」を掲げて双葉山に挑むための研究を繰り返しており、岸本もその新星候補として期待されていました。

1940年代初頭に入門した岸本は、1938年1月場所で20歳にして初土俵を踏みました。当時入門が遅れ気味だったものの、彼は順調に出世し、1942年1月には新十両、1943年1月には新入幕を果たしました。彼の筋肉質な体格は「赤鬼」と呼ばれ、風貌は同部屋の駿河海光夫と対照的でした。

大相撲での成功と挫折

彼の相撲キャリアは、第二次世界大戦という困難な時代にありましたが、1944年の1月場所で双葉山をハズ押しで破って金星を獲得し、その後も順調に番付を上げていきました。1947年6月には憧れの大関に昇進しますが、翌年には怪我に悩まされ、調子を崩してしまいます。そして1948年5月場所では1勝も挙げられず、再び大関角番となり、その後関脇に降格します。

再昇進を果たしたものの、大関としての成績は芳しくなく、1951年には再び負け越してしまうことが決定的となり、ついには現役を引退することとなりました。通算での大関在位は合計9場所であり、その勝ち越しはわずか3回という結果でした。

引退後の活動

引退後、岸本は年寄・出来山を名乗り、出羽海部屋の年寄として、勝負審判や若手力士の指導に当たりました。1983年に日本相撲協会を退職した後は、東京都江東区の門前仲町で「岸もと」という旅館を経営しました。しかし、同年7月に心筋梗塞を患い、65歳という若さでこの世を去ることになりました。

彼の死後、同じ「細身ながら怪力」という特性を持つ出羽の花義貴が名字を引き継ぐ形となり、彼の存在は今でも相撲界に影を残しています。

主な成績

汐ノ海運右エ門はその生涯で、184勝140敗16休という通算成績を残し、幕内成績は125勝115敗16休、そして大関としては41勝61敗16休という記録を残しました。

• - 通算成績: 184勝140敗16休 勝率: .568
• - 幕内成績: 125勝115敗16休 勝率: .521
• - 大関成績: 41勝61敗16休 勝率: .402
• - 通算在位: 30場所
• - 幕内在位: 20場所
• - 大関在位: 9場所
• - 金星: 2個（双葉山1個、東富士1個）

汐ノ海運右エ門の人生とキャリアは、名力士としての誇りと、数々の試練の中での苦悩を物語っており、相撲の歴史において重要な位置を占めています。

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