江井ヶ島港

江井ヶ島港：歴史と概要

兵庫県明石市大久保町江井島に位置する江井ヶ島港は、兵庫県が管理する地方港湾です。赤根川の河口にあり、古くから栄えた港として知られています。現在では定期航路は運航されていませんが、タイやスズキなどの水揚げがあるなど、活気のある漁業が盛んに行われています。

魚住泊：古代の港

江井ヶ島港の周辺には、古代の港「魚住泊」の跡地が存在します。魚住泊は、摂播五泊と呼ばれる古代の主要港のひとつに数えられています。かつては、その位置について赤根川河口と瀬戸川河口の二説がありました。しかし、1986年に赤根川で行われた浚渫工事で発見された丸太材の年代測定の結果、10世紀初頭と判明しました。これは、914年に魚住泊の修復が請願された時期と一致しており、赤根川河口が魚住泊の有力な候補地であることが裏付けられました。さらに、江井ヶ島漁業協同組合事務所の南側護岸工事でも、井桁状に組まれた丸太材が発見されており、古代港の遺構の存在を強く示唆しています。

江井ヶ島港の歴史：古代から現代へ

江井ヶ島港の歴史は古く、726年には歌人笠金村によって「名寸隅の舟瀬」として歌に詠まれています。その後、744年には僧行基によって摂播五泊のひとつとして整備され、以降、幾多の修築や改修を経て発展を遂げてきました。

832年：清原夏野による私財を投じた修築、後に朝廷による公金助成
867年：元興寺の僧賢和による改修願い
914年：三善清行による「意見封事十二箇条」での修復請願
1196年：東大寺の僧重源による大和田泊との合同石椋工事の奏上
1213～1219年：重聖上人による修築
1289年：性海上人による奏上による修築

近年の調査では、1986年の浚渫工事での丸太材発見、1993年の魚住泊記念碑建立、2012年の護岸石材発見、そして2013年の丸太材の年代測定による10世紀初頭の伐採年代特定など、様々な考古学的発見が歴史研究に貢献しています。これらの発見は、江井ヶ島港と魚住泊の歴史的つながりをより明確に示す重要な証拠となっています。

まとめ

江井ヶ島港は、現代の漁業拠点としての役割に加え、古代から続く歴史的な港「魚住泊」の跡地としての価値も併せ持っています。 数々の歴史的出来事や考古学的発見を通じて、その存在は時代を超えて人々の生活と深く関わってきたことを物語っています。今後も、さらなる調査や研究を通して、この地の豊かな歴史が解き明かされていくことが期待されます。

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