江戸崎不動院

江戸崎不動院について

江戸崎不動院は、茨城県稲敷市江戸崎に位置する天台宗の寺院です。山号を医王山、寺号を東光寺と称し、本尊は不動明王です。地元の人々からは「不動院」「不動尊院」とも呼ばれ、特に「江戸崎不動院」の名で親しまれています。寺院は、江戸崎のほぼ中央にある小高い丘の上に位置し、広大な境内を有しています。

歴史

開山については諸説ありますが、一説には嘉祥元年（848年）に慈覚大師によって開かれたと伝えられています。その後、文明2年（1470年）には幸誉によって中興されたという説、または幸誉が開山したという説があります。一時衰退しましたが、江戸崎城主であった土岐原氏や蘆名氏によって保護され、特に天正19年（1591年）には、当時の城主であった蘆名盛重が、随風（後の天海）を中興開山として迎え、寺院の再建に尽力しました。

随風は、徳川家康の信頼が厚く、「黒衣の宰相」とも呼ばれた高僧で、江戸崎不動院には約17年間住職として滞在しました。慶長7年（1602年）には徳川家康から寺領150石の御朱印地が寄進され、その後も将軍家の帰依を受け、寺領は250石にまで拡大しました。明暦元年（1655年）には、江戸城紅葉山旧殿の四脚門が移築され、不動堂も建立されました。さらに、元禄6年（1693年）には客殿、鐘楼、書院、土蔵、仏像などが整備され、寺院は隆盛を極めました。最盛期には、寺中に五つの塔頭を持ち、114の末寺門徒を抱える大寺院として、関東八檀林の一つに数えられました。しかし、明治9年（1876年）に火災に見舞われ、仁王門を除いて大部分の建物が焼失しました。

境内と文化財

現在の境内には、明暦元年（1655年）に4代将軍徳川家綱の援助によって建てられた仁王門をはじめ、板碑、手水鉢、灯篭、宝篋印塔など、多くの歴史的な石造物が残されています。また、郷土の偉人である大築由造や大久保英助の記念碑もあります。寺宝としては、狩野探幽筆の雨海画像、東照権現神号、天海木像などが所蔵されています。

年表

836年（承和3年）：円仁が開山。
1470年（文明2年）：江戸崎城主・土岐景成が檀越となり、幸誉法印が中興。
1555年（天文24年）：絹衣相論により、後奈良天皇が江戸崎不動院に綸旨を下す。
1590年（天正18年）：江戸崎城主・蘆名盛重が江戸崎不動院を修復し、8世に天海を迎える。
1655年（明暦元年）：徳川家綱が江戸城紅葉山御殿の四脚門を与え移築。
1876年（明治9年）：本堂が焼失。
1972年（昭和47年）：本堂が再建。
1974年（昭和49年）：表参道の石段を造成。
1975年（昭和50年）：本堂（祈願殿）建立。稲荷堂が竣工。
1976年（昭和51年）：祈願殿の脇に、庫裡を新築。
1986年（昭和61年）：回講堂（本佛殿）建立。
1990年（平成2年）：仁王門の大修理がなされる。

寺宝

天海大僧正画像（狩野探幽作）

交通アクセス

桜東バス江戸崎バス停から徒歩15分。


江戸崎不動院は、歴史と文化が息づく場所であり、訪れる人々に静寂と安らぎを与えてくれるでしょう。

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