江朝宗

江 朝宗（1861-1943）の生涯

江 朝宗（こう ちょうそう）は、清末から民国初期にかけて政治家および軍人として活動した大きな影響力を持つ人物です。彼の生涯は、政治的な駆け引きや権力争いに彩られ、多くの歴史的事件に関与していました。

初期の経歴と袁世凱との関係

江朝宗は1861年に生まれ、初めての公職には台湾巡撫の劉銘伝に仕官し、台湾で活動を始めましたが、賄賂の受領が問題となり、1889年に収監され本土に戻されました。その後、彼は袁世凱に取り入って彼の部下として活動を始めました。袁世凱が失脚した際には、鉄良の配下に転じ、陝西省の漢中鎮で総兵に任命されました。

辛亥革命が勃発すると、江は陝西省から逃亡し、袁世凱の復権を支援しました。その結果、歩軍参謀官に任命され、1912年には署理歩軍統領に昇進しました。以後、彼は袁世凱の忠実な部下として活躍し、1915年には袁世凱が皇帝に即位する際の大典の準備にも関与しました。

国務総理代理としての活動

袁世凱の死後、江は1917年に王士珍を補佐する形で京津の警備副司令に就任しました。張勲の復辟を支持したことから、その後の政治情勢に深く関わることになります。しかし、段祺瑞が張を討伐する動きに対して江は彼を裏切り、段に呼応することになりました。これにより、彼の地位は低下し、歩軍統領を辞任することとなりました。

江はその後、防疫督弁として1918年から活動を開始しますが、職務の怠慢と腐敗により批判を受けることとなり、1919年には辞任に至ります。失敗を重ねながらも復権を目指し、安徽派をまとめたり、直隷派を支援したりしましたが、うまくいくことはありませんでした。

北京特別市長としての近年

1937年、盧溝橋事件が発生すると、江は日本軍の支持を受けて北平（現在の北京）の治安維持会会長兼特別市長となります。同年末には中華民国臨時政府が成立し、彼はその中で特別市長に再び任命されましたが、立場が不安定になり、翌年には特別市長の職を辞しました。1940年には華北政務委員会の委員に特派されるも、その後、彼の政治的な影響力は徐々に衰えていきました。

1943年9月20日、江朝宗は老衰により北京で亡くなりました。享年83歳で、彼の生涯は中国の動乱の時代を反映したものと言えるでしょう。彼の政治的な行動と袁世凱との関係は、当時の中国社会の複雑な情勢を象徴しています。

参考文献

• - 侯鴻緒「江朝宗」中国社会科学院近代史研究所『民国人物伝 第10巻』中華書局、2000年。
• - 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。
• - 劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。

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