池尻大塚古墳

池尻大塚古墳概要

池尻大塚古墳は岐阜県関市の池尻山の西南麓に位置する古墳で、古墳時代の終末期である飛鳥時代に築造されました。この古墳は、方形の墳形を持ち、丸山古窯跡、弥勒寺官衙遺跡、弥勒寺跡と共に国の史跡「弥勒寺官衙遺跡群」を形成しています。特に、墳丘の盛土が失われ、横穴式石室が露出しているため、別名「美濃の石舞台古墳」とも呼ばれています。

歴史的背景

池尻大塚古墳は、古代に武儀郡や郡上郡を支配していた身毛氏の根拠地として知られ、彼らの一族の墓と考えられています。2008年と2011年には関市教育委員会による発掘調査が行われ、古墳の詳細が明らかになりました。調査によると、築造時期は7世紀の前半であり、短辺が約23メートル、長辺が25メートルという、いびつな方墳であることが判明しました。

石室の構造

池尻大塚古墳の石室は、両袖式の横穴式で、羨道の長さは10.29メートル、玄室は高さ2.5メートル、幅2.66メートル、長さ4.32メートルと豪華な造りをしています。さらに、川原石で構成された礫床を持つこの石室は、近畿地方から技術者が派遣された可能性が高いとされ、当時の高い建築技術を示しています。

出土品の特徴

古墳の発掘調査では、馬具の一部と見られる滴形の鉄地金銅張飾金具が出土しました。また、須恵器や土師器（小甕）、灰釉陶器、さらに13世紀に製作された山茶碗も発見されており、これは当時の人々の生活スタイルや交易の一端を示しています。

文化財としての重要性

2016年には、池尻大塚古墳は弥勒寺官衙遺跡群の一部として国の史跡に指定され、その文化的価値が再認識されました。関市では、この古墳を含む弥勒寺官衙遺跡群の史跡公園が2033年の完成を目指して整備されており、古代の歴史や文化を後世に伝える重要な場所となることが期待されています。

このように池尻大塚古墳は、古墳時代の重要な遺構であり、歴史的な背景や考古学的価値が豊富に含まれた場所です。現代でもその研究や保全が進められており、古代の人々の営みを知る貴重な事例となっています。

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