河北通

騎手・河北通の軌跡

1972年10月10日、京都府に生を受けた河北通氏は、競馬の世界で騎手、そして調教助手としてそのキャリアを歩みました。競馬学校の第7期生として、郷原洋司、四位洋文、藤田伸二といった同期と共に学び、1991年に栗東トレーニングセンターの小野幸治厩舎から騎手としてデビュー。平地・障害両免許を持っていましたが、障害競走への騎乗はありませんでした。

騎手としての第一歩は1991年3月2日、中京競馬場での3歳新馬戦でした。フォースシクレノンに騎乗し10着でしたが、同年5月5日には京都競馬場で行われたレースで、スリーリリックに騎乗し、待望の初勝利を挙げました。1年目は9勝をマークし、12月1日には中京で初の1日2勝を記録するなど、ルーキーイヤーから存在感を示しました。

キャリア初期は順調に成績を伸ばし、2年目の1992年には自己最多となる年間26勝を挙げ、自身初の年間2桁勝利を達成。この年から1997年まで5年連続で年間勝利数2桁を維持するなど、安定した騎乗を続けました。1992年には中京記念でブライアンカーチスに騎乗し、重賞初騎乗を果たしています。翌1993年には、京都競馬場で自身初の2日連続勝利を記録。また、同年にはスプリンターズステークスでGⅠ初騎乗を果たし、地方競馬にも参戦しています。

重賞戦線での活躍

河北騎手の名を多くのファンに知らしめたのは、ステートジャガー産駒メルシーステージとのコンビでしょう。1994年、このコンビはアーリントンカップでエイシンワシントンとの激しい叩き合いを制し、見事な逃げ切りで人馬共に重賞初勝利を飾りました。続く毎日杯ではタイキブリザードとのクビ差の接戦を制し、レコードタイムで重賞連勝を達成。クラシックである皐月賞にも挑みましたが、こちらは大敗に終わりました。

1995年からはサウンドバリヤーとのコンビでも活躍。京都4歳特別で3着に入った後、愛知杯で勝利を挙げています。1997年には中京記念でセイントリファールに騎乗し2着、そしてシルクジャスティスとの出会いがありました。毎日杯では12番人気ながら最後方から追い込み3着と波乱を演出。日本ダービーでは4番人気の支持を得てシルクジャスティスに騎乗し、最後方から直線最速タイの末脚で追い込み、メジロブライトにクビ差迫る4着と大健闘。ランニングゲイル、エアガッツ、マチカネフクキタル、サイレンススズカといった強豪たちに先着する走りを見せました。エリモダンディーとのコンビでもクラシックに挑みましたが、ダービーは7着でした。また、1997年にはメガミゲランで北九州短距離ステークス、アンドロメダステークスとオープン特別を連勝するなど、短距離戦線でも存在感を示しました。

キャリアの後半と引退

1998年以降は年間勝利数が一桁台となることが増えましたが、着実にキャリアを重ねました。2003年には門別競馬場で地方競馬での初勝利を記録。2007年7月22日にはシゲルダンヤバードでJRA通算200勝を達成しています。また、2006年にはロングエンパイヤで師匠である小野幸治調教師の通算400勝達成に貢献。晩年にもロングプライドとのコンビで活躍し、2007年の端午ステークスでは7馬身差の圧勝劇を演出し、健在ぶりを示しました。

長年、河北騎手を悩ませたのが左肩の脱臼癖でした。「くしゃみでも外れるほど」という深刻な状態で、2008年10月5日の札幌での騎乗を最後に長期の休養に入り、大掛かりな手術を受けました。リハビリを経て2009年1月に一度は復帰しましたが、以前のパフォーマンスを発揮することは難しく、同年5月3日の騎乗が最後となりました。そして、同年12月20日をもって現役騎手からの引退を発表しました。最後の勝利は2008年7月27日、天草特別でのセフティーローレルでした。

調教助手として

騎手引退後、河北氏は競馬の世界から離れることなく、自身の師匠である小野幸治厩舎で調教助手に転身しました。その後、小野師の定年により松下武士厩舎へ移籍。現在はGI馬レシステンシアをはじめ、厩舎所属馬たちの育成に携わっています。騎手時代に見せた正確な判断力と馬を見る目を、調教の場で活かし、新たな形で競馬に貢献し続けています。

主な騎乗馬

メルシーステージ（1994年アーリントンカップ、毎日杯）
サウンドバリヤー（1995年愛知杯）
メガミゲラン（1997年北九州短距離ステークス、アンドロメダステークス）
ロングプライド（2007年端午ステークス）
シルクジャスティス
セイントリファール
エリモダンディー

JRA通算成績

200勝

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