河後森城

河後森城（かごもりじょう）

河後森城は、愛媛県北宇和郡松野町松丸に位置する日本の城、具体的には山城です。その歴史的価値から、国の史跡として指定されています。

構造

城は、四万十川の支流である広見川と、さらにその支流の堀切川、鰯川によって囲まれた、馬蹄形の独立した丘陵上に築かれています。この地形を巧みに利用し、防御性を高めています。山頂には本郭が設けられ、そこから二段、三段と平坦地が続いています。曲輪は古城、本城、新城と馬蹄形に配置され、中央には風呂ヶ谷と呼ばれる谷戸があります。

発掘調査の結果、掘立柱建物跡が複数確認されており、これらの調査結果に基づいて、城内には門や建物が復元されています。また、16世紀末から17世紀初頭にかけて大規模な改修が行われたことが分かっています。この改修によって、瓦葺きの建物や多聞櫓などが建てられ、天守に相当する建物も存在したと考えられています。

沿革

河後森城は、川原淵殿と呼ばれた渡辺氏が代々居城としていました。その機能が最も活発だったのは、天文後期から天正年間にかけての時代です。しかし、天正8年（1580年）から翌年にかけて、城主であった渡辺教忠の近習、芝政景（芝源三郎）が土佐国の長宗我部氏に寝返り、謀略によって城を奪取するという事件が起こります。

天正11年（1583年）の四国の役の後、この地を豊臣氏の家臣であった戸田勝隆が治めることになり、芝政景は追放されました。その後、藤堂高虎が当地を治めた際、河後森城の天守を宇和島にある自身の居城、板島城に移築し、月見櫓として利用したと伝えられています。

慶長19年（1614年）に伊達秀宗が宇和島藩を創立すると、付家老であった桑折景頼（石母田景頼）が河後森城に入りました。しかし、元和元年（1615年）に一国一城令が発令されたことにより、河後森城は廃城となりました。

2017年（平成29年）4月6日には、続日本100名城（179番）に選定され、その歴史的価値が改めて評価されています。

参考文献

日本歴史地名大系 (オンライン版)
河後森城の解説
高山剛「史跡河後森城跡の発掘調査について」『中世城郭研究』第14号、2000年7月、386-389頁、ISSN 0914-3203。

関連項目

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