渡辺教忠

渡辺教忠は、戦国時代の伊予国（現在の愛媛県）で活躍した武将です。彼は西園寺氏の有力な家臣であり、河後森城を拠点としていました。教忠は、土佐一条氏の出身であり、複雑な経緯を経て西園寺氏の家臣となりました。

教忠は、土佐一条氏当主・一条房家の子である東小路教行の次男として生まれました。幼少期は土居清良と共に過ごし、一条兼定による伊予進出の計画の一環として、西園寺氏の重臣・渡辺政忠の養子となります。この養子縁組により、教忠は西園寺氏の家臣団の中で重要な地位を占めることになり、西園寺十五将の筆頭として1万6500石を領しました。

しかし、一条氏が南伊予に侵攻した際、教忠は西園寺氏の出兵命令を拒否し、日和見を決め込みます。この行動が主君である西園寺公広の怒りを買い、永禄10年（1567年）に攻められることとなります。最終的に、教忠は養子を人質として差し出し、降伏しました。

一条氏が土佐国から追放された後、教忠は長宗我部氏との戦いで奮闘し、「河後森の若城主」として評判を高めます。しかし、度重なる戦乱は家臣団の分裂を招き、教忠の統治を困難にしていきました。

天正8年（1580年）から翌9年（1581年）にかけて、教忠は家臣の裏切りに遭います。長宗我部氏に寝返った近習・芝政景の策略により、月見の夜に居城から追放されたと伝えられています。彼の最期については諸説あり、暗殺されたとも、帰農したとも言われています。

渡辺教忠は、激動の戦国時代を生き抜いた武将であり、その生涯は複雑な人間関係と政治的な駆け引きに彩られています。一条氏と西園寺氏という二つの勢力の狭間で、彼は自身の立場を守りながら、領地と家臣を守るために戦い続けました。河後森城の城主としての彼の活躍は、地域の歴史に深く刻まれています。

参考文献：「河後森城史」旧松野町教育委員会

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